2023年4月開業〈東急歌舞伎町タワー〉は建築とアートに注目!
2023年4月14日に開業する〈東急歌舞伎町タワー〉は長年「新宿ミラノ座」として親しまれた〈新宿TOKYU MILANO〉の跡地に建てられるもの。ホテル、レストラン、映画館、劇場、ライブホールなどからなる、高さ約225メートルの超高層複合施設だ。
建築の外装デザインは永山祐子が担当した。噴水をイメージした意匠は歌舞伎町のエネルギーが水のように天に向かって吹き出す様子を連想させ、水の純粋さ、柔軟さ、優雅さを表現する。また同心円を波のように重ね合わせて水を表す日本の伝統文様「青海波」を随所にあしらい、水とのつながりを強調する。
施設内には26組のアーティストによるアート作品や、アートと一体化した空間が出現する。〈愛知県美術館〉館長で『あいちトリエンナーレ』にも関わってきた拝戸雅彦と、このプロジェクトにも参加するChim↑Pom from Smappa!Groupらを擁する現代美術ギャラリー、ANOMALYがキュレーションを担当した。
そのChim↑Pom from Smappa!Groupは歌舞伎町に縁の深いアーティストコレクティブ。彼らが設置する《ビルバーガー》は、取り壊しが決まっていた〈歌舞伎町ブックセンタービル〉での2016年のプロジェクト「にんげんレストラン」から制作されたもの。四角く切り取られたビルの全フロアに家具など、ビルで使われていたものがバーガーのように挟まれている。日本の都市では当たり前のように行われている「スクラップアンドビルド」を可視化したものだ。
篠原有司男は吉村益信らと前衛芸術グループ「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」を結成、歌舞伎町にほど近い吉村の住居兼アトリエ〈ホワイトハウス〉を拠点にしていた。〈東急歌舞伎町タワー〉では歌舞伎町で制作した新作の「ボクシング・ペインティング」を設置する。絵筆の代わりにボクシングのグローブに絵の具を浸し、キャンバスを殴りつけて描く絵だ。尾形光琳《燕子花図屛風》を思わせる色合いが、伝統と革新を融合する。