『お手頃ランチに忍び寄る「インフレ」 一杯の豚バラ丼から見えた日本経済の苦境』への皆さんの反応まとめ
第5波の緊急事態宣言が明けた10月下旬。神奈川県藤沢市で、「里のうどん」という飲食店を2店経営する西嶋芳生さん(56)の顔色は暗かった。この日、取引のある食材卸業者から届いたのは、サラダ油の値上げの知らせ。今年に入って4回目で、年初から実に1.6倍以上のアップだった。西嶋さんが営むのはうどん店。だが名物は意外にも豚バラ丼だ。特製の甘辛いタレで炒めた豚バラ肉と、たっぷりのキャベツをのせた丼はボリューム満点。過去には、全国の優れた丼を表彰する「全国丼グランプリ」で金賞にも輝いた。一番人気は、この豚バラ丼とうどんのセットで、6割もの客が注文するという。価格は店舗によって異なるが、藤沢駅近くの南藤沢店ではランチ時に951円(税込み)で提供している。
しかし今、この人気セットが原価高騰の波に脅かされている。サラダ油のみならず、お好みでかけるマヨネーズや、うどんに使う小麦粉も値上げ。特に痛手なのが、豚バラ丼の主役である豚バラ肉で、約20%の値上げを卸業者から言い渡された。合計すると、年間で220万円もの原価アップが見込まれてしまう。前へ1234次へ1/5ページ