1年生記者が挑む!京都検定 目指せ本物の「京都マニア」 より良い記事が書けるように
■京都検定受けてみない? ~木下記者~
「木下くんさぁ、京都検定受けてみない?」。ノーベル賞の日本人受賞に備えた準備にてんてこ舞いだった10月上旬のある日、京都総局のデスク(次長)から突然1本の電話がかかってきた。京都検定って聞いたことあるけど何だっけ、難しいのかな-。そんな疑問が一瞬頭をよぎったが、新人記者としてやらない手はない。即座に「はい、ぜひ受けたいです」と答えた。
4月に入社し、5月に京都勤務となって間もなく半年。事件・事故から街中の人情話、世界遺産や重要文化財までさまざまな取材で府内各地を駆け回り、新たな発見が連続する毎日を送っている。
大学時代は神戸に住んでいたが、神社仏閣で鮮やかに咲く桜や紅葉など四季折々の表情に魅了され、多い時には毎週京都を訪れていたことから、友人からつけられたあだ名は「京都マニア」。しかし京都で始まった記者生活で改めて京都の歴史や文化の奥深さを思い知り、自分の知識量の乏しさを痛感する中で、舞い込んできた京都検定の受験。挑戦を通じてますます、京都について詳しくなりたいと意欲がわいた。
夏には、新型コロナウイルス禍のため3年ぶりに巡行が行われた祇園祭を担当。実施表明の記者会見から前祭(さきまつり)、後祭(あとまつり)まで何度も祭りの現場に通い、巡行再開に向けて尽力する関係者から話を聞いた。京都の街が紡いできた歴史や伝統の重みを強く感じた印象的な取材の一つだ。
数多くの歴史や文化を生み出してきた京都を理解することは簡単なことではないだろう。しかし一つでも多く詳しくなることで、読者へ届けられることは増えるはず。検定を皮切りに本物の「京都マニア」に近づけるよう全力を尽くしたい。(木下倫太朗)
きした・りんたろう 平成9年生まれ。鹿児島市出身。兵庫県内の外国語大でスペイン語を専攻していた。趣味は野球やサッカーなどのスポーツ観戦。部活では185センチの長身を生かし、捕手やゴールキーパーを務めた。航空無線を聞いたり、フライトレーダーをみたりするほどの飛行機好き。エンジン音で機種をあてることができる。
◇
■年少合格者は8歳~太田記者~
京都検定の受験を決意してはや1カ月。休日や担当の事件・裁判取材の合間を縫って勉強を始めたが、そもそも京都検定とはどんな検定か、みなさんご存じだろうか。
公式ホームページや問題集をひもとくと、始まったのは平成16年。歴史や文化、寺社、祭りなどさまざまな切り口で京都に関する知識を問い、「ツウ」度を認定する検定と説明されている。全国各地にある「ご当地検定」の一つだが、他の地域より頭一つ抜けて知名度が高いのは、歴史の長さに裏打ちされた設問範囲の広さと難易度の高さからのようだ。
公式テキストブックの分量は片手ではずっしりくる約400ページ。受験級は複数あるが、最高難易度の1級の合格率は20%以下とか。年によっては1%台もあると先輩記者に聞かされ、今回は基礎レベルの3級の受験とはいえ、少しおののいた。
学生時代、京都へ来ることはあったが、ほとんどは遊び目的。歴史や文化は正直、あまり知らずにいた。京都への配属が決まり自分なりに勉強をしたつもりだったが、いざ記者生活が始まると知識の乏しさに気づかされた。特に祇園祭の取材では、古くから続くしきたりや専門的な用語に数多く出合い、取材相手との会話や原稿執筆に苦労したばかりだ。
京都に来て半年。受験をきっかけに知識を蓄え、より良い記事が書けるようになりたい。ありきたりな説明に終わるのではなく、長い歴史が紡いできた寺社や祭りの奥深さや魅力を表現し、読者に「行きたい」「見てみたい」と感じてもらえるような記事を-。そう思うと、俄然(がぜん)やる気がわいてきた。
受験する3級は四択で100問が出題され、70%以上の正答で合格となる。これまでの最年少合格者はなんと8歳。試験まで時間がないが、記者として負けるわけにはいかない。こつこつと勉強を重ね、合格をつかみたい。(太田優)
おおた・ゆう 平成12年生まれ。兵庫県出身。県内の大学で国際政治などを学んだ。趣味は5歳から始めたピアノ演奏で、ショパンの「ノクターン」が十八番。実家で飼っているオスの柴犬「ポチ」が大好きだが、会えない期間が長いためシバイヌカフェに立ち寄り癒やされている。京都市内の神社仏閣を巡り、最近始めた御朱印集めは、目の前で書かれる見事な文字にいつも驚かされている。
京都検定 歴史や文化、寺社や祭り、工芸、暮らしなど幅広い切り口で古都・京都の知識を問い、「ツウ」度を認定するご当地検定の一つ。京都商工会議所の主催で平成16年に始まり、正式名称は「京都・観光文化検定試験」。高度な知識を問う1級から基本レベルの3級まで段階があり、子供から高齢者まで幅広い層が受験している。