金工家・中村友美のやかんをホンマタカシが撮影した写真集。
奈良に工房を構え、金工家として活躍する中村友美さん。金属を金槌で叩きながら成形を行う「鍛金(たんきん)」という技法で、うつわやオブジェなどさまざまな作品を生み出している。今回、写真家のホンマタカシさんが撮影したのは、ちいさなやかん。火にかけ、何度も叩かれ、金属の板から生まれたやかんは、端正な線やきりりとした佇まいが美しい。
「多くの作家さんたちは造形を考える時、まず単体の美しさを追求するけれど、私は単体より、これが空間に置かれた時の景色を想像してつくりたい。並べたときや群れになった時に心地いい造形を、自然に選んでいるのだと思います」(中村友美/『カーサ ブルータス』2019年11月号より)
と中村さんが語るように、ちいさなやかんたちがのびのびと集う、静謐な空間が写真集には収められている。後半には、中村さんのデザイン画も掲載されている。