親鸞の真筆見つかる…仏教賛歌にルビでわかりやすく
「衆生を救済する阿弥陀仏の本願の力で、煩悩と悟りが一つの味わいとなる」という内容で、他の史料から晩年の1256年作とみられる。本文の脇に読み方を示すカタカナが付いている。
同市の市史を執筆した津田徹英・青山学院大教授(日本美術史)が、調査の過程で掛け軸になった墨書を発見。「眞」の2画目の横の線が長いなど親鸞の筆癖が顕著に表れているといい、同朋大仏教文化研究所研究顧問の小山正文さんが真筆と判断した。
1257年に編まれた国宝の草稿本「正像末法和讃」には41首あり、最初の9首は親鸞の真筆。草稿本では、大円寺蔵と同じ和讃が21首目に記され、読み仮名はなく注釈が添えられている。小山さんは「今回の真筆も草稿本も和讃を分かりやすく伝えようとした努力の跡がうかがえる」と話す。
大円寺が所属する真宗大谷派総務部は「ご真筆の和讃を通じ、時を超えて宗祖の願いや思いを肌で感じることができる。宗派としても大変喜ばしい発見」としている。