〈ヴィトラ〉と〈SKWAT〉が手がける魅惑の空間〈P〉で、ジャン・プルーヴェの世界に没入する。
1950年創業のスイスの家具メーカー〈ヴィトラ〉は9月17日、20世紀のデザイン、建築、工学の分野において、もっとも多才で革新的な人物のひとりであるジャン・プルーヴェ(1901~1984)の家具を新たなカラーパレットに変更し、同時に4つの復刻を発表する。さらに同日から10月29日まで、東京・表参道に、プルーヴェの頭文字を冠したパブリックスペース〈P〉が出現。〈ヴィトラ〉と、都市の遊休施設を一時的に占有し、一般へ解放するプロジェクト〈SKWAT〉の協業プロジェクトだ。
〈P〉は、プルーヴェ製品を実際に“使う”ことを目的とした空間だ。美術館や展示という既存の枠組みの外で、デスクで働いたり、本を読んだり、休憩したりと、プルーヴェのデザインと、そのビジョンに実際に触れ、自由に体験することができる。プルーヴェにまつわる映像を上映。組み立て・解体の体験や、トークショーも予定されている。
さらに、9月20日19時には、世界100台限定で、プルーヴェが1948年にデザインしたラウンジチェア《フォトゥイユ カングルー》の特別限定品を販売。オンラインショップ限定で販売される同アイテムは、「カングルー(カンガルー)」という名の通り、そのユニークなフォルムが特徴だ。今回の特月限定品は、新色「ブランコロンブ」の金属製の脚と、織生地ブークレの明るい色味にコントラストの効いた「ダークブラウン」のパイピングの背座面を組み合わせた。この《フォトゥイユ カングルー》は、日本で唯一、〈P〉でのみ展示される。
プルーヴェが鍛冶工出身だったことはよく知られている。常に構造を重視し、自らを “建設家” と称していたプルーヴェは、製造も職人を率い、自らの手により行っていた。レターオープナーから、ドアや窓の部品、照明、家具、ファサード、住宅、建築モジュラーシステム、大規模な講堂や展示空間に至るまで、幅広い製品や空間を実現させた彼のアイテムは今なお世界中で愛されており、〈東京都現代美術館〉では10月16日まで、大規模展『ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで』が開催中だ。