小寺慶子のレストラン予報|恵比寿〈ta.bacco〉
瞬間をとらえ、タイミングを見極めることが料理の美味しさを左右するように、ヒットする店には時代の空気感をいち早く取り入れる“瞬発力”がある。
学芸大学の〈リ・カーリカ〉や〈カンティーナ カーリカ・リ〉などの人気店を手がけ“食いしん坊の胃袋請負人”として知られる堤亮輔シェフの最新店が4月にオープン。
カウンター席とバンコ(立ち飲みカウンター)を備えた〈〉は、看板もメニューもない大人のための食空間だ。“入口”のハードルを少し上げたのは、食への価値観が多様化する今の空気感をとらえ、気ままにワインと食事を楽しんでほしいという思いから。
料理は30種以上のバリエーションがあり、軽くつまみたい、パスタを多めに食べたいなど、リクエスト次第でいかようにもというスタンスだ。イタリア各地の郷土料理にオリジナリティを加えながらポーションや味わいは軽やかに、ワインに合うように。普段使いのカジュアル感と自由に食を謳歌できる贅沢さがゆるやかにミックスされた心地よさに満たされる。