『「躍進の維新」と「惨敗の立憲民主」の決定的な差』へのみんなの感想まとめ
2021年10月末の衆議院総選挙では与党が圧勝し、立憲民主党や共産党は議席を減らした。一方で野党のなかでも、日本維新の会は大きく議席を伸ばし、躍進した。政党間の戦略にどのような違いがあったのか。駒澤大学の逢坂巌准教授は、立憲民主党と日本の維新の会におけるメディア戦略の差を指摘する。両党の命運を分けたものとは。
※本稿は『Voice』2022年2月号より抜粋・編集したものです。みんな維新のおかげ?【逢坂誠二(立憲民主党・代表代行)】「我が党はいろんな政策もいっぱい法案も出していますが、伝える力が弱い。もっともっと伝える力をしっかりしなきゃいけない。もう一つは、先日テレビ見てましたらね、大阪のある地域の自転車置き場で中年の奥様が『この自転車置き場をきれいにしたの、維新なんだよね』と言うのです。それはまさに自治の課題です」
【司会】「大阪でいろいろ、与党としてやっていることが、それがみんな維新のおかげだと言う……」
【逢坂】「『みんな維新』っていうことで 国政にまで影響を与えている。やっぱりそういうところが我が党に不足しているところだと思う。理念とか政策とか法案のPR不足。それから地べたに這いつくばるようなですね。皆さんの本当に役に立つというようなことを、――みんなやってるんですよ――、やっているけれども馬場さん(の日本維新の会)はその点やっぱりお上手。あとで勉強に行かなきゃいけないですね」
【馬場伸幸(日本維新の会・共同代表)】「我々が全国政党に広がっていくためには、地方議員さんも必要です。で、地方自治体の首長さんをそのなかから誕生させていく。そういう基盤がしっかりできたなかで国会議員を誕生させる。そうすると国と地方がうまく絡み合いますんで、よりそのパワーアップした政治というのはできると思います」
(BS TBS「報道1930」2021年12月6日放送)
政治メディアを人々と政治をつなぐ媒体だと想定すると、政党や政治家が得票を得るべく有権者とコミュニケーションをとろうとする際には、組織と広報という二つの異なったメディアが考えられる。
組織とは、政党の地域・職域の支部や党員、所属の地方議員やその支持者、各種の支持団体とそこに所属している人びとであり、それ自体が票の母体であると同時に、ヒューマンパワーや選挙資金の源泉でもあり、ポスター貼りから電話かけ、知人の紹介まで選挙に欠かすことができない。
一方、広報とはマスメディアやインターネットを通じて、主として組織されていない人びとにメッセージやイメージを届けることである。前世紀末から無党派層が急増し、有権者の約半数となった。無党派は投票の二~三日前に投票先を決定する場合が多く、選挙においてどのような風が吹くか、党首のイメージや政党からのメッセージ、またマスメディアなどの報道が重要なものとなっている(*1)。
そこで以下では、組織と広報、二つのメディアの観点から、今回の衆院選では伸び悩んだ最大野党の立憲民主党と、逆に前回より四倍増の議席を獲得した日本維新の会を中心に、2021年後半の政治コミュニケーションを見つめ、課題などを考えてみたい。
【注釈】*1:メディアの報道が投票行動に直接に影響するかは政治学でも議論が続いている。ただ、先の衆院選でも僅差の小選挙区も多数存在している。選挙における「風」や「広報」の重要性は確認できよう。次ページは:古参政党がもつ基盤前へ1234次へ1/4ページ