ミラノデザインウィーク2022で土田貴宏が発見! “次”を担う5組のデザイナー。
毎年恒例のミラノデザインウィークは、新型コロナのため2019年を最後にフルスケールで実施されていなかった。しかし今回、通常の4月開催より2か月遅れでついに本格復活が実現。前代未聞のブランクを経たからこそ、目新しいデザイナーの当たり年となった。若手が集結するグループ展や自主的な企画展がいくつもあったほか、家具ブランドの新起用にも動きが見られる。
ここに取り上げたのは、中でも特に注目したい5組。出身も作風も多様性に富みながら、しっかりした主張を持つデザイナーばかりだ。マテリアルの探求をテーマにしていたり、今までにない木の椅子の形を目指したり。一方、この時期の大舞台であるミラノサローネでフォーカスされるのはやはり家具だが、あえて社会課題への斬新な取り組みを披露するデザイナーもいた。また家具であっても、量産を志向しないアーティスティックな作品がますます増えている。イタリアの高級ブランドからヒット商品を出すことを成功だと考えるデザイナーは、この世代にはほとんどいないようだ。
ミラノを拠点にマテリアルを重視して活動するデザインスタジオ。今回は彼らが企画したグループ展に日本など各国から気鋭のデザイナーを招いた。そこで発表した新作は茶の間がモチーフで、自由に寛げる現代の瞑想の場として発想された。
オランダのクリーム・オン・クロームによるジュース屋台は、太陽エネルギーの活用案をスケッチして渡すと、ソーラーパネルの電力で搾ったオレンジジュースが無料でもらえる。難しいテーマを気軽に考えるきっかけを作るデザインだ。
ウルグアイ出身のふたりがロサンゼルスで設立したエストゥディオ・ペルソナ。メキシコのウンノギャラリーによる南米デザイナーのグループ展で発表されたのは、アルミ製の巨大なキャビネット。ブルータルで素材感の豊かな力作。