北原白秋、東山魁夷…豪華スターが集結!100年前創刊『コドモノクニ』驚きの誌面
『コドモノクニ』創刊号の後書きには、「一つの繪、一つの言葉が、どんなに强い印象を子供の心性の上に、與へてゆくものであらうか」と記されています。その言葉通り、絵画・文学・音楽の3本を柱として、絵画主任に岡本帰一、童謡顧問に北原白秋、野口雨情、音楽顧問に中山晋平と、当代一流の芸術家が編集に携わりました。
さらに、歴代の執筆陣には、竹久夢二、中原淳一、東山魁夷、藤田嗣治、西條八十、島崎藤村、サトウハチロー、室生犀星、山田耕筰といったスターが名を連ねます。裏表紙や目次、奥付までも、武井武雄や初山滋ら、長く同誌で活躍した画家が手掛け、隅々まで気概に満ちた内容でした。
後期になると、亀倉雄策や河野鷹思といったグラフィックデザイナーも制作に加わります。「こうすれば子どもが喜ぶだろう」という枠を超えて、芸術家たちは自分の表現を、それこそ子どものように自由に、遺憾なく発揮し、大人が読んでも楽しめるアート誌のようでもありました。
当時の『コドモノクニ』の誌面から豪華な制作メンバーが手掛けた珠玉のページをご紹介します。
撮影=桂太(フレイム) 『婦人画報』2022年10月号より
のちに風景画の大家となった東山魁夷が、まだ本名の新吉で活動していた若き時代、『コドモノクニ』にも多くの挿絵を寄稿していました。いずれの作品も、子どもたちのいきいきとした様子を、優しい色使いでこまやかに描写しています。
豪華な執筆陣は、ほかにも、洋画家の神谷万吉や脇田和、漫画家の岡本一平、文学では小川未明、金子みすゞ、草野心平、壺井栄、村岡花子なども登場。「あめふり」「兎のダンス」などいまも歌い継がれる名作童謡も誕生しました。見開きいっぱいに掲載された芸術家たちのコラボレーションは、ページをめくるたびに予想もつかない絵と物語が展開され、感性をくすぐります。
海外をテーマにした記事も見られます。こちらは、1936年に渡欧した小説家・横光利一による、パリでのひとこまが描かれたエッセイで、フランスの子どもたちに一人の日本人がじゃんけんを教えるというもの。海外の童話や偉人の伝記、幼児教育者の岸辺福雄による、イギリスやモナコ、イタリアなど西欧諸国のリポートもあり、海外への興味の扉を開いていました。
※こちらの絵に関しては、著作権者を探す努力を重ねましたが、判明しませんでした。関係者のご連絡をお待ちしております。