蔡國強の白天花火プロジェクトが「サンローラン」支援のもと開催 いわきの海岸に満開の桜が咲く
蔡氏は1957年、中国・福建省生まれ。1980年代後半に日本に移り住み、88年から95年の間、いわき市を中心に芸術活動を行った。舞台となった四倉町はかつて蔡氏が暮らしていた土地で、その後芸術家として世界的な知名度を得たのちもいわき市を第二の故郷と呼び、地元の人たちと継続的に交流を深めてきた。
会場となった海岸には、こどもを含む地元の住民、中国から蔡氏の友人や家族、サンローランの招待ゲスト、メディア関係者が集まり、打ち上げられる花火を見守った。コロナ禍のため2年延期されたというイベントの開催にあたり、蔡氏は「ここ30数年間にいわきの仲間たちと数々の共同作業を通じて成長し、一緒に髪が白くなり、動きがややゆっくりになってきました。このような人生を通じてお互いがかけがえのない友人として出会ったことは本当に幸せなことです。この縁はいわきの海岸に私を連れ戻しました。この土地は過去に、大地震、津波、原子力の衝撃を受けました。今日この4万発の花火は亡くなった命への鎮魂の祈りとして捧げます」と日本語で挨拶。自ら導線に点火し、8幕(ドローンの不具合により実際には7幕)から構成されるプログラムを披露した。桜をイメージした花火が火薬の爆発音とともに打ち上がると会場からは歓声が上がり、ピンクの煙が青空に立ち上った。
イベントに続き、ゲストは蔡氏が館長を務める「いわき回廊美術館」へ移動。同氏と旧知の友人で、9万9千本の桜をいわきの里山に植樹することを目的とした「いわき万本桜プロジェクト」の代表 志賀忠重氏ら、地元のボランティアなどによりウェルカムランチが振る舞われたほか、来日中のイヴ・サンローランCEO フランチェスカ・ベレッティーニ氏も登壇。「サンローランのスピリットでもあるクリエイティビティをより発展させていくことを目的にアーティストへのサポートを行っている。みなさんもその精神に則って一緒にこの機会をお祝いしていただきたい」と謝辞を述べ、イベントを記念して同社からも桜の木の植樹支援を行うという。