「ときには愛していない人をも抱きしめて」、心温まる一枚の物語
6月号の特集記事では、物理的な触れ合いと、それがなぜ人間に大きな影響を与えているのかについて科学的に掘り下げている。触れ合いの大切さが注目され始めたのは2年前。新型コロナによって、世界からそれが失われたときだ。感染対策として握手や抱擁を避け続けたために、そうした触れ合いが私たちの心身の健康にとって不可欠だという思いがより一層強くなった。
ジョンソン氏が今回の取材に引き込まれたのは、写真を撮るという役割だけでなく、人と一緒にいられるからだった。パンデミック下の制限もあり、困難な撮影が続いたが、それも魅力の一つだったとジョンソン氏は語る。
「パズルのようなストーリーが好きなのです。理解して、調査して、謎を解いて、そして何らかの形で現実に表すのです」
ジョンソン氏によると、深みのある写真を撮るには、写真家が時間をかけてカメラの向こう側にいる人に感情を近づけ、信頼関係を築かなければならない。氏はそれを「受けとめる」と呼ぶが、スタジオでそこまで行うのは難しい。
ジョンソン氏は、新型コロナ関連のルールに十分配慮しつつ、物理的な距離を縮めることで、その障壁を破ろうと考えた。撮影中はマスクを着用し、ジェームズ=スチュワートさんにも頻繁に調子を尋ねた。
写真を見た読者が愛する人を、そして、ときには愛していない人をも抱きしめようと思ってくれるよう、ジョンソン氏は願っている。氏は人々がお互いを見限ることを恐れている。人間らしさは、人生が変わるような他の人々の物語からいかに学ぶかにかかっているというのに。
「私たち人間にとって、人とのつながりこそすべてです。それしかありません」