サグラダ・ファミリアの未来が見える展覧会が開催中。
展覧会は若き日のガウディの記録から始まる。この第1章ではごく小さなものだが、名刺の裏に描かれたスケッチに注目したい。これは1878年のパリ万博でガウディがデザインした革手袋店のショーケースのスケッチだ。バルセロナの資産家アウゼビ・グエルがこのショーケースを見たことがきっかけになり、グエルはガウディのパトロンとなった。建築論を書き込んだノートも興味深い。
第2章に登場するのは歴史、自然、幾何学など、ガウディの創造の源泉を探るコーナーだ。イスラム教とキリスト教が共存していたことがあるスペインでは、色とりどりのタイルで装飾されたイスラム建築が多く残る。色のついたタイルを細かく砕けば〈グエル公園〉のような曲面の装飾も容易にできる。当時、流行したリバイバル建築(過去の建築様式を再評価した、名称に「ネオ(新)」が着く建築様式)からもガウディは多くを学んだ。
ガウディが自然の造形から多くのインスピレーションを得ていたのはよく知られている。〈カサ・ビセンス〉には棕櫚の葉を型取りした門扉の装飾や、小花のタイルで彩られた壁などがある。彼は洞窟や鍾乳洞など大地の侵食造形にも興味を持っていた。洞窟のような形は〈グエル公園〉や〈サグラダ・ファミリア聖堂〉〈カサ・バッリョ〉など多くのガウディ建築に応用されている。