美術評論家連盟がプラットフォーム「美術評論+」を開設。評論の促進狙う
同サイトは、展覧会評、作家評、作品評、書評、日々の研究の成果、美術界の雑感、エッセイ、会員発行の書籍等の情報、会員のキュレーション活動など、様々な内容の記事を掲載するもの。別媒体に寄稿した記事の転載もあり、アーカイヴとしての機能も担うという。ジャンルは美術だけでなく、写真や建築、デザイン、パフォーマンス、映像、書籍などをカバーしている。
連盟側がこのサイトを立ち上げた背景に何があるのか。サイト開設に携わったワーキンググループは、「近年、芸術祭の増加などにより、一般社会のなかにおける美術の受容度はかなり高まっている。美術館等が開く美術展も、コロナ禍を乗り越えるかたちで、広く一般に訴求されている」としながら、「美術を巡る社会的な問題や事件も増加しているように見受けられる」と説明。以下のようにサイト開設の背景を述べている。
これまで美術評論家連盟では、声明(共同意見)の発表や年1回の会報による発信をしてきたが、発表の場としては十分ではなかった。また、雑誌の廃刊や休刊、予算減で展覧会カタログが制作されないなどのケースが増え、美術評論の場が減っているという事実もある。評論を掲載しているウェブサイトは営利非営利に関わらず、経済的理由や運営上の理由で媒体や記事が消滅することもあり、過去の会員の評論をアーカイヴするためにも、自前でサイトをつくる必要があるという意見が出ていた。さらに、都市圏の大きな展覧会だけではなく、地域や若手のアーティストを拾いあげ、アートが国際化するなかで海外に発信できるメディアが必要という議論もなされた。
最終的に、展覧会評、作家評からエッセイまでの様々な投稿のなかで、連盟の会員である各評論家が、各自責任を持った論を発信し、深い議論を促すことで、美術界を下支えすると同時に美術と社会の関係をよりよくすることができればとの思いから、新たにサイトを開設した。
「美術評論+」は連盟会員の自由投稿サイトであり、通常のブログやSNS等と同じく、各記事の文章や画像などは校正を含め、すべて会員個人が各自の責任で編集・管理を担う。そのため、投稿内容は連盟の意見を表したものではないという。