この夏、気楽に行ける都内の駅チカ美術館をピックアップ
まずは屋外を通ることなく行ける、駅直結の美術館をピックアップ。JR東京駅丸の内駅舎内にある東京ステーションギャラリー
は、駅舎の構造を露わにしたレンガ壁の展示室と、近代美術を中心にした企画展で親しまれている美術館だ。同館では、異なる場所・時代に生き、ともに牧歌的で楽園のような風景を描いた2人の画家、アンドレ・ボーシャン(1873~1958)と藤田龍児(1928~2002)を紹介する「
牧歌礼讃 / 楽園憧憬 アンドレ・ボーシャン+藤田龍児
」展が7月10日まで開催中。企画展のほか、展示室をつなぐ螺旋階段や、2階の回廊で東京駅丸の内駅舎の歴史を模型や写真資料で紹介する常時展示もチェックしてほしい。
丸の内地下南口改札から地下道を利用し、三菱一号館美術館
の地下入口にたどり着くことができる。赤レンガの建物が特徴的な同館では、ガブリエル・シャネルの仕事に焦点を当てる日本では32年ぶりの回顧展「
ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」が9月25日まで開催中だ。
千代田線・乃木坂駅の6出口に直結している国立新美術館
。1万4000平米という国内最大級の展示スペースを生かした同館では、多彩な展覧会のほか、教育普及などの活動も行われている。機械仕掛けの作品で知られる現代美術家・タムラサトルによる入場無料の展覧会「
ワニがまわる タムラサトル」は7月18日まで開催されており、この夏に開催が予定されている「ルートヴィヒ美術館展」(6月29日~9月26日)と「李禹煥
」展(8月10日~11月7日)も大きな注目を集める展覧会だ。
六本木駅に直結する美術館には、森美術館とサントリー美術館
がある。森美術館では、パンデミック以降の時代において心身ともに健康である「ウェルビーイング」を多様な現代アートを通して考察する展覧会「
地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング
」(6月29日~11月6日)を、サントリー美術館では古来から繰り返し詠まれた和歌によって特定のイメージが結びつけられた日本人の心の風景を表す「歌枕」の世界を紹介する「歌枕」展(6月29日~8月28日)を開催。2館をあわせて訪れるのもオススメだ。
そのほか、京王新線・初台駅に直結する東京オペラシティ アートギャラリーでは、コロナ禍による延期を余儀なくされていたライアン・ガンダーの大規模個展「
ライアン・ガンダー われらの時代のサイン」が7月16日にスタートする。
駅から徒歩5分圏内の美術館
自然豊かな都心のオアシスと言える上野公園にも行ってみたい。JR上野駅公園口から徒歩1分の位置にある国立西洋美術館
は、西洋美術全般を対象とする唯一の国立美術館。今年4月にリニュアルオープンした同館では、自然と人の対話から生まれた近代の芸術の展開をたどる展覧会「自
然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」が9月11日まで開催中。同館の近くにある東京都美術館では、7月23日より特別展「
ボストン美術館展 芸術×力(げいじゅつとちから)」と企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」が開催される。いずれも待望の展覧会だ。
東西線・竹橋駅の1b出口からすぐのロケーションで、皇居に隣接する東京国立近代美術館
では、ドイツが生んだ現代美術の巨匠、ゲルハルト・リヒターの日本の美術館では16年ぶりの待望の大規模個展「ゲルハルト・リヒター展
」(~10月2日)が開催中。日本で初公開された巨大な抽象画《ビルケナウ》(2014)をはじめ、リヒターにとって重要な位置を占める数々の作品群を通し、その60年にわたる画業が総覧できる機会をお見逃しなく。
JR東京駅(八重洲中央口)や東京メトロ銀座線・京橋駅(6番、7番出口)から徒歩すぐのところにあるアーティゾン美術館
では、石橋財団コレクションと現代美術家が共演する展覧会「ジャム・セッション」の第3弾である「写真と絵画-セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策」と、「
Transformation 越境から生まれるアート」展が7月10日まで行われている。
六本木駅のミッドタウン・ガーデン直結出口を出て、港区立檜町公園に続く緑地「ミッドタウン・ガーデン」に建てられている21_21 DESIGN SIGHT
。同館では、昨年行われた、パリのエトワール凱旋門を布で包むクリストとジャンヌ=クロードのプロジェクト「LʼArc de Triomphe, Wrapped,
Paris, 1961–2021(包まれた凱旋門)」の制作背景と実現過程を紹介する企画展「クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門”
」が行われており、ふたりのアーティストのレガシーをたどる貴重な機会だ。
そのほか、JR新宿駅西口の地下通路を通って、暑い日差しを避けて行けるSOMPO美術館
では、スイスのジュネーヴにあるプチ・パレ美術館が収蔵するフランス近代絵画を紹介する「スイス プチ・パレ美術館展
印象派からエコール・ド・パリへ」を7月13日より開催。また、JR恵比寿駅の東口から動く通路「恵比寿スカイウォーク」を通り抜けてたどり着く東京都写真美術館
もオススメのスポットだ。
なおウェブ版「美術手帖」の「ART MAP
」では、地図から美術館やギャラリーの展覧会情報が検索可能。水分や塩分補給など熱中症対策をしっかりと行ったうえ、駅チカの美術館に出かけてみてはいかがだろうか。