「出来事との距離」展からブルターニュ展、ルーヴル美術館展、ポケモン×工芸展まで。今週末に見たい展覧会ベスト10
ニュースや戦争をテーマに制作された作品には、時代や立場によってその表現が異なることがある。そのような視点から、コレクション約130点を含む全150点を展示する「出来事との距離―描かれたニュース・戦争・日常」展が、東京・町田市の
町田市立国際版画美術館で始まった。担当学芸員は町村悠香(町田市国際版画美術館 学芸員)。
本展では、ニュースや戦争を描いた作品に触れ、過去、現在のアーティストが「出来事との距離」にいかに向きあってきたかを探るもの。会場は、「1章 ゴヤが描いた戦争」「2章 戦地との距離」「3章 浮世絵の見立てと報道」「4章 ニュースに向き合うアイロニー」「5章 若手作家の作品から」の全5章で構成され、目撃者(作家)が様々な事象とどのような関係を結んだかに迫るものとなる。レポートは
こちら。
会期:2023年6月3日~7月17日
会場:町田市立国際版画美術館
住所:東京都町田市原町田4-28-1
電話番号:042-726-2771
開館時間:10:00~17:00(土日祝~17:30)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし7月17日は開館)
料金:一般 800円 / 大学・高校生 400円 / 中学生以下無料
彫刻として残した猫との思い出を巡る。「朝倉文夫生誕140周年記念 猫と巡る140年、そして現在」(大分県立美術館)
朝倉文夫(1883~1964)は⼤分県豊後⼤野市朝地町出身で、1909年に東京美術学校彫刻選科を修了。徹底した⾃然主義的写実を貫き、48年には彫刻家として初めて文化勲章を受賞するなど、⽇本の彫塑界をリードする中⼼的な存在として⼤きな⾜跡を残した。いっぽうで朝倉は無類の愛猫家としても知られており、数⼗体にものぼる猫の作品を残している。その作品の数々は、ともに暮らした猫たちとの思い出を⽇記のように造形化したものだという。
本展はそんな朝倉の創作を振り返るとともに、大分を拠点に国内外で活躍する現代作家らと朝倉作品が共演。朝倉の「猫」作品を軸に、現代作家らの視点で朝倉や猫をとらえ直すものとなる。参加作家は美術家の安部泰輔と絵本作家・美術家のザ・キャビンカンパニー。
会期:2023年6月9日~8月15日
会場:⼤分県⽴美術館 1階 展⽰室A、アトリウム
住所:大分県大分市寿町2-1
電話番号:097-533-4500
開館時間:10:00~19:00(金土~20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 1400円 / 大学・高校生 1000円
ブルターニュから見えてくる西洋絵画の血脈。「憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、 ゴーガン、 黒田清輝らが見た異郷」(国立西洋美術館)
フランス北西部のブルターニュ地方。19世紀後半から20世紀にかけ、各国の画家たちが多くの作品を生み出したこの地に着目した初めての展覧会「憧憬の地
ブルターニュ ─モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」が、東京・上野の国立西洋美術館で6月11日まで開催されている。
展示は国内美術館のコレクションを中心に、パリ・オルセー美術館より来日したクロード・モネ
《嵐のベリール》など3点を加え、全4章で構成。展示されるのはすべてブルターニュ地方に関連する作品となっている。レポートはこちら。
会期:2023年3月18日~6月11日
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30~17:30(金土~20:00)
休館日:月
料金:一般 2100円 / 大学生 1500円 / 高校生 1100円
多様な「愛」の表現を味わう。「ルーヴル美術館展 愛を描く」(国立新美術館)
古代以来、西洋美術の根幹をなすテーマのひとつである「愛」。ルーヴル美術館の膨大なコレクションから精選された「愛」をテーマにした73点の絵画を一堂に展示する「ルーヴル美術館展
愛を描く」が、国立新美術館で12日まで開催中だ。
会場は、プロローグ「愛の発明」に加え、第1章「愛の神のもとに──古代神話における欲望を描く」、第2章「キリスト教の神のもとに」、第3章「人間のもとに──誘惑の時代」、第4章「19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇」の全4章構成。プロローグでは、古代ギリシア・ローマとキリスト教という、ヨーロッパ文化の大きなふたつの源流にフォーカスしている。レポートは
こちら。
会期:2023年3月1日~6月12日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(金土、6月11日~20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火
料金:一般 2100円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 / 中学生以下無料
生誕140年となるマリー・ローランサンとパリ・モードの世界を堪能する。「マリーローランサンとモード」(京都市京セラ美術館)
生誕140年を迎えたマリー・ローランサンの画業と、様々な才能がジャンルを超えて交錯することでパリ・モードの世界を堪能できる展覧会「マリー・ローランサンとモード」が、Bunkamura
ザ・ミュージアムでの東京展を経て、京都市京セラ美術館に6月11日まで巡回中だ。
展示構成は、第1章「レザネ・フォルのパリ」、第2章「越境するアート」、第3章「モダンガールの登場」、エピローグ「蘇るモード」。会場に並ぶのは、オランジュリー美術館やマリー・ローランサン美術館から集められた約90点だ。ローランサンとともに自由な時代を生きる女性の代表的存在だったココ・シャネルに関する資料も多数展示され、モダンとクラシックが絶妙に融合する両大戦間のパリの様相を俯瞰する構成になっている。東京展のレポートは
こちら。
会期:2023年4月16日~6月11日
会場:京都市京セラ美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
電話番号:075-771-4334
開館時間:10:00~18:00 ※入場は17:30まで
休館日:月
料金:一般 2000円 / 大学・高校生 1500円 / 小中学生 700円
緻密なタッチが生み出すダークファンタジー。「エドワード・ゴーリーを巡る旅」(渋谷区立松濤美術館)
独特な世界観とモノトーンの緻密な線描で、世界中に熱狂的なファンをもつ絵本作家、エドワード・ゴーリー(1925~2000)。その記念館であるゴーリーハウスで開催されてきた企画展を再構成した展覧会「エドワード・ゴーリーを巡る旅」が東京の
渋谷区立松濤美術館で6月11日に閉幕する。
本展は、ゴーリーの晩年の住居であり現在は記念館として一般公開されている「ゴーリーハウス」の企画展を、「子供」「不思議な生き物」「舞台芸術」などのテーマから全5章で再構成したもの。会場には約250点の作品が一堂に会している。レポートは
こちら。
会期:2023年4月8日~6月11日
会場:渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
電話番号:03-3465-9421
開館時間:10:00~18:00(金~20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校生・60歳以上 500円 / 小・中学生100円
華やかな大阪の文化を日本画と見る。企画展「大阪の日本画」(東京ステーションギャラリー)
大阪中之島美術館で開催された展覧会「大阪の日本画」が、東京・丸の内の東京ステーションギャラリーに巡回。6月11日に閉幕する。
商工業都市として発展してきた大阪は、東京や京都とは異なる独自の文化圏を形成し、個性的で優れた美術作品を創出。市民文化に支えられた近代大阪の美術は、江戸時代からの流れをくみつつ、伝統にとらわれない自由闊達な表現を花開かせた。
本展では、明治から昭和前期にかけて大阪で生まれた日本画に光をあて、大阪中之島美術館が長年かけて収集したコレクションと、全国から集めた優品とをあわせた約150点を展示する。妖艶で頽廃的な作風で人気を博し、「悪魔派」と揶揄された北野恒富や、大阪における女性画家の先駆者で上村松園とも並び称された島成園らの作品が展覧されている。
会期:2023年4月15日~6月11日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:03-3212-2485
開館時間:10:00~18:00(金~20:00)
休館日:月
料金:一般 1400円 / 高校・大学生 1200円 / 中学生以下 無料
工芸に進化したポケモンたち。企画展「ポケモン×工芸展 ─美とわざの大発見─」(国立工芸館)
「ポケモン」と「工芸」を掛けあわせるという、大胆かつ魅惑的な実験から生まれた「かがく反応」を楽しめる企画展「ポケモン×工芸展 ─美とわざの大発見─」が、石川県金沢市の
国立工芸館が6月11日に閉幕する。
本展は、人間国宝を含む20名の作家がポケモンというモチーフに挑み誕生した約70体の「工芸ポケモン」を展示するもの。展示は「すがた ~迫る!~」「ものがたり ~浸る!~」「くらす ~愛でる!」の3部で構成されている。
さらに、見どころをまとめた「ずかん」や英語表記の図録といった工夫も凝らされているため、子供から大人まで、日本だけでなく海外の人まで、ポケモンと工芸の魅力も伝わる展示となっている。レポートは
こちら。
会期:2023年3月21日~6月11日
会場:国立工芸館
住所:石川県金沢市出羽町3-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 900円 / 大学生 500円 / 高校生 300円
FARO WORKPLACEのこけら落とし。「アルフレド・ジャー『The Future is Now』」(FARO WORKPLACE)
東京都目黒区のギャラリー・FARO WORKPLACEのこけら落としとして、アルフレド・ジャーの個展「The Future is Now」が開催されている。
ジャーは1956年チリ・サンティアゴ生まれ。チリで建築と映像制作を学んだ後、82年からニューヨークに拠点を移して活動している。ジャーは各地の人権侵害や社会的不公正などに関して、綿密なリサーチを長い時間をかけて実施。情報を見つめ直して深く洞察し真相に光を当てることで、現代社会を反映し問題を喚起させる作品を制作してきた。2018年には第11回ヒロシマ賞を受賞。
ジャーにつけられた本展のタイトル「The Futuer is Now」は新しくオープンするFARO WORKPLACEの希望でもあるという。
会期:2023年4月28日~6月10日
会場: FARO WORKPLACE
住所:東京都目黒区青葉台3-15-17 FARO中目黒1F
電話番号:03-6403-5636
開館時間:11:00~19:00
休館日:日月
料金:無料
開館25周年を記念。「渉るあいだに佇む-美術館があるということ」(茅ヶ崎市美術館)
神奈川県の茅ヶ崎市美術館で、開館25周年を記念した企画展「渉るあいだに佇む-美術館があるということ」が6月11日まで開催されている。
本展では、子供と大人とマシンが展示室の巨大な壁面と対峙して出来上がった作品、茅ヶ崎に落ちていたゴミでつくられた作品
、まちのシンボルである烏帽子岩をモチーフにした作品、美術館を訪れる人々や周辺に暮らす人の声を集めた展示など、同館のために制作された作品とともに美術史に残るゆかりある作家の作品を展示。地域に美術館という場があることについて考えさせられる機会になるだろう。
会期:2023年4月8日~6月11日
会場:茅ヶ崎市美術館
住所:神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45
電話番号:0467-88-1177
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 700円 / 大学生 500円 / 市内在住65歳以上 350円