BACH・幅允孝による、私設図書館&喫茶がオープン。
「伝えたのは3000冊の本が置けること、喫茶も併設すること、そして時間の流れが遅い場所であることだけ。金輪継ぎなど伝統的な手刻みの工法を用いつつも、開口部に使うピンチブロックや太陽光発電など、古い技と新しい技術が融合した空間が完成しました」
文学から始まり、自然科学、アート、工芸、建築、漫画とカテゴリーごとに分けられて整然と並ぶ本は、幅さんいわく「自分がアーカイブしてきた、手元に置いておきたい本の中から選んだ一軍のスタメン」。安西水丸が渡辺昇時代に発表した『夏の終り-少女』や、大きく影響を受けたジョセフ・コスースの作品集など、幅さん自身の頭の中を覗くようで興味深い。
一冊を手に取り、自由に本と過ごす90分。ネルドリップの深いコーヒーが、日常を忘れ時間の回転数を落とす手助けをしてくれる。
「技術のスピードに対して人間は鈍くてもいい。そんな想いを “鈍” に込めました。本は無理に読まなくてもいい。自分の内側に耳を傾け、ゆっくり流れる時間に身を委ねてもらえればと思います」
入ってすぐのクロークルームにはスマートフォンを預けるための鍵付きの引き出しもある。京都府京都市左京区上高野掃部林町4-9。HPより完全予約制。施設利用料90分2,000円(コーヒー1杯を含む)。定員6名。5月17日オープン。