「鎌倉殿の13人」にも影響 作家・永井路子さん 鎌倉で追悼展
永井さんは1962年から約40年間、鎌倉市内で暮らした。鎌倉時代を舞台に、それまで注目されてこなかった阿野全成(源頼朝の異母弟)、梶原景時、阿波局(北条政子の妹)、北条義時らにも熱い視線を注ぎ、直木賞受賞作の「炎環」や「北条政子」らの名作を生み出した。
79年には「炎環」など一連の鎌倉作品を原作にしたNHK大河ドラマ「草燃える」が放映され、昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも大きな影響を与えたとされる。98年には鎌倉市名誉市民となり、鎌倉の魅力を伝える多くの随筆や紀行文なども残している。
展示は「北条政子」の新聞連載初回の「あしおと」や源実朝が登場する「幻の船」の直筆原稿のほか、鎌倉の寺を訪ねたスナップ写真、多分野にわたる著作など計86点。
学芸員の榎本雅子さんは「永井さんの作品には歴史上有名な人たち、特に女性たちに通説とは異なる評価を与えた着眼点のすばらしさがある。多くの著作を集めて展示しているので、ぜひ見てほしい」と話している。
文学館では、奈良時代から江戸時代まで、鎌倉にゆかりのある文学作品を収蔵品でたどる「鎌倉文学年表」も開催中。いずれも3月26日まで。月曜休館。入館料300円。【因幡健悦】