筑後川の風物詩「鵜飼い」が3年ぶりに再開 技を受け継ぐのは残り2軒…初の合同漁【福岡発】
5月20日の原鶴温泉。3年ぶりの鵜飼いが再開されるのを前に、今シーズンの豊漁と安全を願う神事が行われた。
服部誠太郎福岡県知事:
鵜飼の再開、スタートの日を迎えることができた。本当にうれしく思っております
鵜飼いは、鵜にアユを捕まえさせる筑後川の伝統漁法。例年、期間中は多くの観光客が屋形船で見学する。夏の風物詩として長年親しまれてきた。
しかし、5年前の九州北部豪雨で筑後川や船が被害を受け、シーズン途中での中止に。さらに2020年と21年は、新型コロナの影響で2年連続中止を余儀なくされた。
原鶴名物の伝統文化がかつてない危機にさらされる中、現在、鵜飼いの技を受け継いでいるのは2つの家のみ。鵜匠や船頭の高齢化と後継者不足が課題で2020年、コロナ禍で鵜飼いを続けてきた3軒のうち1軒が廃業した。
船頭・梶原日出夫さん(66):
全国の鵜匠さんもそうなんだろうですけど、後継者問題。これが第一の問題
鵜飼いはそれぞれの家ごとに技術を継承してきたが、伝統を絶やしてはいけないと、今シーズンは初めて2つの家が一緒に漁を行うことになった。
船頭・梶原日出夫さん:
3年ぶりということで、期待大の不安ちょっとかな。2人の呼吸があうかが心配
鵜匠・臼井信郎さん(37):
今回の鳥は、私がいつも触っていた鳥ではない梶原さんの家の鳥。ほとんど初対面。鳥のクセとかがあるので、なるべく顔を見たり触ったり、コミュニケーションをしている
午後7時すぎ、3年ぶりの鵜飼いが始まった。今シーズンは新型コロナ対策のため、屋形船を例年の5隻から3隻に減らすなど規模を縮小して行われる。
鵜匠歴15年の臼井さん。今回は慣れ親しんだ鳥ではないが、巧みな綱裁きで鵜は勢いよく川に潜る。アユを捕らえるたびに見物客からは歓声が上がった。
見物客:
感無量ですね。毎年、見に来てるんだけど、3年間見れなかったので
見物客:
感激しました。誇りに思っているから、本当に再開できてよかったです
初日は豊漁とはいかなかったものの、伝統漁法の再開へ新たな一歩を踏み出した。九州豪雨以降、度重なる大雨で川の状況が悪化し、アユも不漁となっている。
船頭・梶原日出夫さん:
期待通りではなかったが(鵜飼いが)できたのが幸せですね。まだ鳥はストレスも溜まってるだろうし、人が多いのも何年ぶりですから。今からだと思います
鵜匠・臼井信郎さん:
こういう仕事があるとか、漁法があると分かってもらえたら嬉しい。自分の代で無くさないようにこれから繋げていって、鵜飼という文化を残していきたい
度重なる豪雨被害と新型コロナを乗り越えて復活した、原鶴温泉の鵜飼い。例年より1カ月短い8月末まで行われることになっている。
(テレビ西日本)