「ロエベ クラフト プライズ 2023」日本人が大賞、特別賞を受賞
稲崎は1972年生まれ。武蔵野美術大学を卒業後、京都市立芸術大学大学院美術研究科で終始課程を修了。滋賀県陶芸の森のアーティスト・イン・レジデンスに2002年から1年間参加し、現在は高松市を拠点に活動している。
稲崎は、極小のパーツを集積することで、結晶化した表面を持つ陶磁器を制作。審査員は「陶磁器でさまざまなエレメントから相乗効果を生み出すという、これまで見たこともないような卓越した技術である」と評価した。
特別賞に選考された渡部は、胡桃の木の皮を素材にした箱を制作。審査員は、樹皮の素材感と、建築の構造や修理の伝統に着想を得たリベットを評価したという。ドミニクは、小さな双子人形を組み合わせたヨルバの多産を連想させる作品を発表。伝統的な信仰を彫刻的に再解釈し、現代のクラフトのあり方を拡張している点が評価され、渡部とともに特別賞を受賞した。なお、ファイナリスト30人の作品はニューヨークのノグチ美術館で6月18日まで展示される。