入場料なし投げ銭制 兵庫・豊岡演劇祭 芝居、曲芸野外で熱演
演劇祭では参加約80団体のうち、公式プログラム以外に、フリンジプログラムと呼ばれる公募で選ばれた約60団体による公演がある。城崎温泉街(豊岡市城崎町)、出石城跡周辺(豊岡市出石町)、JR江原駅前(豊岡市日高町)などでの屋外公演も多く、演劇祭期間中2回の週末には夜店が並ぶ「フェスティバルナイトマーケット」があり、会場一帯ではフリンジプログラムも目立つ。
JR江原駅前にナイトマーケットが設けられた18日は、会場で太神楽(だいかぐら)曲芸師の豊来家幸輝(ほうらいやこうき)さんが口にくわえた棒に載せた土瓶の宙返りを繰り出し、最前列に陣取った小学生や住民からはアンコールも起きた。
近くで直前にあった演劇集団「半畳の宇宙」による一人芝居「よだかの星」では、夜店のけんそうの中、演技に没頭する俳優の中川佐織さんを囲む椅子席約50席は開演前から埋まり、上演中、徐々に増えた立ち見は30人ほどになった。
芸術文化観光専門職大学の2年、村田遥菜さんは実習の合間に観劇。「役者さんの世界に引き込まれ、夜店などの周りは気にならなかった」と芝居を堪能した様子で「屋外の上演では普段はあまり観劇しない人を呼び込む芝居が持つ力も見えた」と話していた。
19日には城崎国際アートセンターで、15日に始まった演劇祭の前半を振り返って出演者、観客などの立場から10人あまりが意見交換。屋外公演は会場によっては場所や日時などに工夫が必要とされたほか、宿泊先の確保も課題に挙がった。出演者・観客双方の満足度向上のため、開催エリアごとにマネジメント担当を置く提言もあった。また、住民の観劇を「非常にありがたい」と喜ぶ声があり、まちづくりにアートを取り込む試みを評価したうえで、長期的な視点で演劇祭を捉える必要性も指摘された。
ナイトマーケットは23~25日の午後6~10時、豊岡市役所前でも予定されている。【浜本年弘】