春日大社国宝殿で杉本博司の監修による特別展開催へ。初公開の大作も
御蓋山そして江之浦」が、春日大社国宝殿にて開催される。監修を手がけるのは、現代美術作家の杉本博司だ。会期は12月23日~2023年3月13日。
今年は春に小田原文化財団
江之浦測候所に春日御神霊が遷座し、秋には春日若宮の御造替が完了するという年。そうしたタイミングで開催される本展の舞台は、春日信仰の発祥地であり春日若宮生誕の地でもある御蓋山麓の春日大社国宝殿だ。
本展の監修を務めるのは現代美術作家・杉本博司。杉本は2010年に紫綬褒章受章、2013年にフランス芸術文化勲章オフィシエを受勲するなど、まさに日本を代表する作家だ。杉本はまた、自らも収集するほど日本の仏教美術・神道美術に深い関心を持ち、そこに見出した美と精神を自身の表現活動にも生かしてきた。
展覧会の目玉としてはまず、国宝の古神宝類や重要文化財の舞楽面など、春日信仰・春日若宮信仰の名品が挙げられる。展示内容には国宝の《本宮御料古神宝類
金銅鈴》、重要文化財の《古神宝銅鏡類 瑞花双鳳八稜鏡》や《木造舞楽面 地久》のほか 、2009年に杉本が設立した小田原文化財団が所蔵する《春日若宮神鹿像》
なども含まれている。
同展ではさらに、杉本の新作《春日大宮暁図屏風》と《春日大社藤棚図屏風》が初公開。さらに今年1月から3月にかけて神奈川県立金沢文庫で開催された特別展「春日神霊の旅
-杉本博司 常陸から大和へ」に出品された作品もあわせて展示されるという。
同展の開催に際して、杉本は次のようなコメントを寄せている。
「神霊は眼には映らない。それはただ気配としてあるのみだ。 そしてその気配は、時に芸術に秘そむこともある。」
春日大社という神聖な地で、杉本博司の美意識はどのような空間を構成するのか。またとないこの機会にぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。