直島に誕生した安藤忠雄の〈ヴァレーギャラリー〉は、谷間に現れる聖地のような空間です。
建物内は、コンクリートの壁による二重構造になっていて、細い通路の先に、光の差し込むステージのような空間があったり、その反対側には入れ子になった小部屋があったりと、小さな建物でありながらも変化に富んだ空間を楽しめる。
展示作品は数年のスパンで変更されるが、オープニングを飾るのは、草間彌生による《ナルシスの庭》だ。草間が1966年のヴェネツィア・ビエンナーレで初めて発表し、その名を世界に知らしめるきっかけともなった重要な作品が、館内と前庭、そして池にも設置されている。
さらに敷地のアプローチの部分には小沢剛の《スラッグブッダ88》を展示。こちらは2006年より敷地内に恒久展示されているものだが、〈ヴァレーギャラリー〉のオープンに合わせ、一部改変された。「直島八十八箇所」と呼ばれる、江戸時代に設置された八十八体の仏像をモチーフとし、豊島で不法投棄された産業廃棄物を焼却処理した後に生じるスラグを素材に作られている。