オガリ像、5年の時を経て復活へ 部落差別解消への思いを込めて
1977年、地域にあった施設の外壁に「解放へのオガリ」と名付けられた巨大な母子像(高さ12・3メートル、幅7メートル)が取り付けられた。当時、奈良県を活動拠点にしていた彫刻家、金城実さん=沖縄県読谷村在住=が制作した。「オガリ」とは地元の言葉で「叫び」という意味で、子供を抱いて差別と闘う母親の姿がかたどられた。
ところが建物の解体が決まり、2018年にオガリ像は取り外され、八つに分割して、沖縄の金城さんのもとに運ばれた。それ以降、地域は象徴を失っていた。
金城さんはオガリ像の制作過程で、形はほぼ同じで小さいサイズの“ミニ”オガリ像(縦2・2メートル、横1・4メートル)を作っていた。そこでこのたび、金城さんが保管していたミニ・オガリ像を住吉地区に運ぶことになった。
設置を進めた部落解放同盟府連住吉支部長の友永健吾さん(51)は「部落差別をなくしていこうとする活動の中で、オガリ像は大きな役割を果たしてきた。ミニ・オガリ像が新たな象徴になってほしい」と話している。
11日は午前10時からミニ・オガリ像の設置セレモニーがあり、午前10時半~正午には金城さんが「差別と闘う文化~オガリ像の住吉設置によせて」と題して講演する。講演会は定員40人で申し込みが必要。参加無料。問い合わせはすみよし隣保館「寿」(06・6674・3732)。