玄関の扉をガチャガチャ…恐怖の訪問者
1月に都内から車で2時間ほどの湖畔で撮影があった。寒さや雪が心配されたが、当日は風もなくスタッフの準備も万全、おかげ様で順調に撮影を終えられた。
冷えた体も帰路で温まり、少し眠くなったところで到着。長時間運転してくれたマネジャーにお礼を伝え降車した。寒さで全身が筋肉痛のような感じだが、お風呂に入って入念にストレッチすれば回復しそうだ。夕飯は昨日の根菜スープにショートパスタとミートボールでも入れようかな。
エレベーターを降りて、鍵を回す。ガチャガチャ…。
開かない。「またか」と思った。ここ最近、鍵のかみ合わせがイマイチで、数日前も3分ほど奮闘。管理会社に連絡した方がいいかなと悩んでいた。わがマンションは換気システムがしっかりしており、玄関の扉が内部に吸引されているような圧がある。そのせいかもしれない、と思いとどまっていた。
ガチャガチャ…。うーむ、やはり開かない。管理会社の定休日はいつだったかな。お風呂よりも先にお手洗いに行きたくなってきた。
ガチャガチャ…ガチャガチャ…ガチャガチャ…。
眉根を寄せて3分たった頃、エレベーターが上がってきた。いかん、同階の方に怪しまれてしまう。現れたのは若いお巡りさんだった。
「?」と驚きつつ挨拶をして、会話開始5秒で自分が降りる階を間違えていたことに気づき、青ざめた。
そこからは平謝りである。お部屋の方にも怖い思いをさせて大変申し訳なかったが、こんな凡ミスでお巡りさんを出動させてしまうなんて…。
即刻階を移動して自室を開けてみせ、免許証の確認をしていただき疑いは晴れたのだが、聞かれてもいない理由を説明し何度も謝った。
数日前に自室の鍵が開きにくかった前提。本日寒い撮影で疲労して帰宅、ほうけていたこと。さらにコンタクトレンズを外していて視界もボヤケていたこと。トドメに「いま刑事の役をやってまして…」と謎の告白。撮影頑張ってくださいね、と笑顔のお巡りさんを見送った。
翌日は間違えてしまったお部屋に、謝罪のお手紙と粗品を…。わが家に異変があれば、3分でお巡りさんが来てくれる。そう知れたことだけが幸いの、大変申し訳ない一件だった。