夜は兵庫・城崎でパフォーマー、昼は東京の会社とリモートワーク アーティストの新ライフスタイル
同センターは、舞台芸術などの作品を仕上げるための滞在型の制作拠点。国内外からアーティストが数週間-数カ月の期間で、入れ代わり立ち代わりやって来る。
武本さんは普段、東京でウェブサービスなどを手掛ける企業に勤務し、金融機関のサイトのアクセス解析などを担っている。「仕事以外で物事をじっくり考える時間をつくりたい」と、2017年から毎日、退社後に自宅近くの公民館で、1時間ほどのパフォーマンスを始めた。
ゆっくりと体を動かしながら、その場にあるものを感じることに重きを置いた静かな上演。演者の動きを目で追っていくと、観客も自然と周囲の音や光などを感じられる。
コロナ禍でリモートワークでの業務が可能になったことで、同センターの滞在制作に応募した。5月中旬から平日はセンター内のスタジオで、週末は市内の寺院や飲食店などでパフォーマンスを披露する。「就職したらやりたいことはできないという風潮もあるが、どちらも本職という意識」と武本さん。「サラリーマンの体を引きずりながら、日常の生活をパフォーマンスに重ねている」と話す。
同センター職員の吉田雄一郎さんは「アルバイトなどで生活しながら助成金を獲得して創作するアーティストが大半な中、会社員の生活と創作活動を両立している新しいケース」と話している。
26日午後3時~4時半は江原河畔劇場(同市日高町日置)で上演がある。観覧無料。同センターに申し込む。城崎国際アートセンターTEL0796・32・3888