藤本壮介が太宰府天満宮に手がけた、3年限りの建築。
緑が印象的な屋根とは対照的に、内部空間はシンプルに統一されている。斎場を彩る、御帳と几帳は〈Mame Kurogouchi〉黒河内真衣子によるデザイン。御帳は太宰府天満宮を象徴する梅の木をモチーフとし全面にあしらい、几帳は紫根と呼ばれる植物や境内で採集した梅と樟の枝を用いた草木染めが施されている。
「森の屋根によって作られる仮殿の内部はあえて黒一色にしています。御本殿は、朱や金色などをふんだんに使用し、とてもきらびやかな印象なのですが、これを現代の建築素材で再現するとなるとなかなか難しい。なので、内部においては建築的な主張は背後に隠し、そこにあるしつらえものによって色や質感を生み出すことにしました。黒河内さんの繊細だけれど存在感のある御帳(みとばり)と几帳(きちょう)が、素晴らしい空間を作ってくれています」