シェーカーボックスを買いに、東京・田原町の〈IFUJI the box tailor〉へ。
〈IFUJI〉は井藤昌志が主宰する、木製品を制作する工芸ブランドだ。拠点とする長野県松本に〈the BOX SHOP〉があり、この〈IFUJI the box tailor〉というコンセプトのショップは東京が初。受注やオーダーだけでなく、修理やメンテナンスの相談も受ける。
「世紀を超え使い続け、受け継がれていくようなものを作りたいと考えています。僕がいなくなったら作れない、修理ができないではなく、ずっと修理ができるように2021年3月にブランド化しました。木のものは落としたら割れることもあります。売りっぱなし、使い捨てではなく、工芸こそ残していかなければならないのです」(井藤昌志)
ボックスは14以上の工程を経て、丁寧にじっくりと時間をかけて制作される。素材はサクラ、カエデ、ウォールナット、ナラの4種類。染めやペイントのカラー、サイズ展開も加えれば700種以上。そこにオーダーでサイズや組み合わせを変えていけば実に12,000種以上にも。
「世界にひとつだけの〈OVAL BOX〉を1点から注文いただけます。定番のサイズは#0~#12までありますが、迷ったら使いやすい#4、#5、#6くらいから始めてみてください」
《OVAL BOX》はアメリカの清教徒の一派、シェーカーのシンプルな暮らしの中から生まれたシェーカースタイル。高校生の頃に見かけた雑誌がシェーカーとの出会いだったという。木工作家として独立後、2005年から制作している代表作だ。
「ミュージアムにあるような工芸が今の生活にあったらいいと思って。しかしシェーカーのものはボックスとタオルラックくらい。イギリス、フランス、アフリカ、日本と、元々ある様式にリスペクトを持ちながら現代の道具として作らせていただいている、そこが僕の特徴だと思います」