フェミニスト・アートとは何か。刑法性犯罪改正や広辞苑の改訂に声をあげる明日少女隊にインタビュー
──結成は2015年ですね。私は前職で2017年にアートにおける「ジェンダー」をテーマにした特集を作ったことがあるのですが、その準備をしていた頃に明日少女隊のことを知りました。いまではフェミニズムやジェンダーをテーマにする展覧会やアーティストの作品を見る機会が増えましたが、当時はフェミニズムやフェミニスト・アートを正面から掲げる同時代の若手作家は日本ではほぼ見つからなくて、ネット検索するとまず明日少女隊が出てくるような感じだったのを覚えています。ただ「いったい何者?」と思っていました。そんな状況だった2015年に結成したのはどのような理由なのでしょうか?
尾崎 雑誌『ViVi』が2015年3月号に掲載した「なれるものならプロ彼女」特集を、「デートDVを促す」などのSNS上での批判を通して知り、その女性蔑視的な内容に驚きました。そこでパロディとして「なれるものなら“Happy彼女”」という作品を急いで作ったのが最初です。
私はLAに住んでいたのですが、日本に向けたフェミニストグループを作りたくて、まずはアメリカに住んでる日本人のアーティストや関係者の友人から声をかけ始めたんです。ただ「日本では理解されない」などの理由でなかなか人が集まらなかったところに、ふたりの韓国人とひとりのアメリカ人のメンバーが「興味がある、やりたい!」と言ってくれて、結成しました。
日本では当時、いまみたいにフェミニズムに関するインターネット記事とかもほぼ皆無だったんです。知り合いのアーティストやデザイナーの子たちも、「日本はすでに平等な国やからそんな活動必要ない」といった断り方をするような状況でした。
その後、アーティストではない人たちもグループに加わってくれるようになりましたが、そこには良い面がたくさんありました。アカデミアを経験している人も多いので、たとえば作品にするまでの社会問題の背景に関するリサーチを担ってくれたり、国会で法案が議論されるタイミングなどを教えてくれたり、ほかの志を同じくするNPO団体とのコネクションづくりなど、各人の専門性を発揮して、コラボレーションができるようになりました。