里見女流四冠が会見 棋士試験は「今のところあまり…」
――本戦入りした感想は
里見 今日の対局含め、ここまで勝てると思っていなかったので、また一つ多く対局できるということですごくうれしい。
――本戦への意気込みは
里見 厳しい戦いではあるが、自分の力が出し切れるよう引き続き頑張りたい。
――棋士編入試験の受験資格を得た
里見 勝率を上げられたことに関して、素直にうれしい気持ちがありまして。それとは別に、編入試験があるという感じで。今まであまり考えなかったので…考え直したいと思います。
――男性棋士相手に10勝4敗の成績。手応えは
里見 強くなったと実感することはあまりないですが、棋王戦に関して苦しい将棋がありましたので。そういったことにも、諦めずに指せたことは自分の中では良かった。4時間という持ち時間が長い棋戦でもあるんですけど、体力的な面でも、しっかり自分の力を発揮できるよう戦えたと思う。
――1年前のインタビューをしたときの記事では、編入試験は今のところは考えていない、今の実力では厳しい、考える状況にもなっていないと思っていたという趣旨のことを話していた。「考えてみます」という答えは、前向きに考えているのかという印象を受けた
里見 あまり前向きではないんですが、編入試験を受けるということはそれなりに覚悟がいる。大きな決断になると思う。受けることは今のところあまり考えていない状況。現実に資格を得たことで、新たに考え直したいと思います。そこまで前向きではないですが。
――考え直すにあたっては誰かに相談するか
里見 状況にもよると思う。まずは自分の中で考えて、周りの方にも意見を求めることもあるかもしれない。まずは、自分の気持ちが第一かと思います。
――結果を残せた原動力は
里見 私が女流棋士になった当初、もともと女流棋戦は4時間の持ち時間はなかったので。それから新しい棋戦ができ、経験することもあった。体力面でも何とかしなければと考えていた。自分なりに考えていく中で何とか自信をもって戦える状況になったかなと。苦しい将棋がたくさんあったので、一概に順調に勝ち上がったとはいえないんですが…。目の前の対局に集中していたことがよかったと思う。強い先生方と指せる喜びが別の感情としてあり、楽しい気持ちに変わり、いい結果になったと思う。
――編入試験資格取得も本戦入りも女性初。トップを走り続け、期待を受け止めてきた。女性初はプレッシャーか
里見 注目していただくことはうれしく思っている。自分の受け取りとしては、あまり意識することなく、棋力を上げることを第一優先に考えているので、それがめぐりめぐって結果に表れたのはうれしく思っているし、そういう形で表れたことが本当に良かったと思います。
――体力面のアップや、持ち時間の使い方で工夫は
里見 体力面はいろんな要素があるので、日常的には健康に過ごすですとか、対局中は集中力が切れたときに休憩したりとか、パターン化というわけではなく、臨機応変にやっていた感じです。戦い方も4時間だからこういうふうに使うというのはなくて、そこまで意識することはなく、飛ばすところは飛ばして。要所でしっかり時間を使うことは意識していました。
――切り替えができるようになったということ
里見 将棋の内容的なものですが、自分が試したい形を自由に試すとか。真剣勝負ですが、自分の中で楽しい要素を取り入れて指していました。
――編入試験の話ですが、決断するにはどのような要素が
里見 自分の気持ちだと思います。周囲の方の応援の声は届いているが、自分の中で編入試験を受けたいという強い気持ちが出てきたら、ということだと思います。