サウナーも大満足! 谷尻誠×SOLSO齋藤太一のプロジェクト〈DAICHI〉の最新作。
都心からクルマで約1時間半の千葉県いすみ市。海の幸にも山の幸にも恵まれた土地柄を求めて、移住先や別荘地として注目する人々が増えている。
〈SUPPOSE DESIGN OFFICE〉の谷尻誠が〈SOLSO〉の齊藤太一、プロジェクトマネージャーの馬屋原竜らと共同経営する〈DAICHI〉初の会員制貸別荘として設計した〈DAICHI ISUMI〉も、どこかプライベートな雰囲気をたたえた施設だ。
「実はここ、最初は自分の別荘を建てようと探した土地だったんです」と、谷尻が経緯を明かした。
のどかな街道沿いから、わずかに外れた農村の一角に建つ建物に入ると、リビングからそのままつながる広いテラスとプールが目に飛び込む。内と外をつなげることを得意とする〈SUPPOSE DESIGN OFFICE〉の建築の中でも、ことにスケールが大きく感じるのは、開口部の幅広さにある。
「リビングにも半屋外のような開放感が欲しくて、9mの開口部を設けました」
木造住宅としては長大なこのスパンは、外壁が梁を兼ねることで支えられていると谷尻は言う。「テラスの周りの植栽は、可能な限り元々ある植物を残して〈SOLSO〉の齊藤くんが造園しました」
夷隅川の渓谷を望むテラスは、斜面に沿って地階にも1段あり、フィンランド式サウナやシャワー、水風呂を備えた “サウナー” エリアとなっている。
「水風呂は井戸を掘って給水する予定なので、水道水よりも冷たい温度になると思います」
自身もサウナーだけあって、設備へのこだわりは万全だ。1階の屋内にはバスルームがあり、全開できる窓からは夷隅川沿いの木々がよく見える。
「浴室の壁は樹木の緑に対して補色となる、珊瑚色にしました」
どことなく洞窟めいた雰囲気のバスルームから渓谷を眺めるのも、季節を問わず楽しめそうだ。屋内には暖炉を備えたリビング・ダイニング・キッチンエリアのほかに独立したベッドルームが3室あり、10名までが宿泊できる。またミールキットやナチュールワイン、クラフトビールもオプションで用意。川遊びや釣り、サーフィンなどが近場で楽しめるのも魅力だ。
「このコロナ禍の3年で、多くの計画がなくなって、僕たち建築家は社会の変化に弱い職業だということを思い知りました。これからは土地を購入するところから始めて、建物の設計だけでなく運営も手がけて収益を得る、という仕事づくりをしていかなければと思い、〈DAICHI〉を共同経営することになりました」
最近名乗っている “建築家/起業家” という肩書は伊達じゃない。
木造。敷地面積平米、建築面積平米、延床面積平米。3ベッドルーム、定員10名。千葉県いすみ市岬町。4組の個人・法人会員が使用しない日のみ、一般向けの貸し出しを行う。1泊150,000円~。詳細は公式サイトで。