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東京国立近代美術館の個展で注目のゲルハルト・リヒター。『美術手帖』7月号では、その画業の到達点《ビルケナウ》の謎に迫る
2022-06-07
東京国立近代美術館の個展で注目のゲルハルト・リヒター。『美術手帖』7月号では、その画業の到達点《ビルケナウ》の謎に迫る

 現代アートシーンの「巨匠」ゲルハルト・リヒター。今年、日本で16年ぶり、東京では初となる美術館での個展開催が決まっており、ますます注目が高まっている(東京国立近代美術館[6月7日~10月2日]、豊田市美術館[10月15日~2023年1月29日])。

 6月7日発売の『美術手帖』7月号では、このゲルハルト・リヒターがされている。


 リヒターは1932年ドレスデン生まれ、ケルン在住の画家。青年期をナチスや共産主義体制下のドイツで過ごしたことで、ドイツの歴史との関係を制作の中心的なテーマのひとつとして抱き続けてきた。60年代前半に写真をもとにしたイメージにぼかしなどの技法を加える「フォト・ペインティング」で高い評価を受け、70年代には「アブストラクト・ペインティング」を発表。抽象絵画と具象絵画を行き来しながら、今日まで制作を続けている。

 この特集では、多種多様な作品のなかでも、60年にわたる画業の到達点といえる大作《ビルケナウ》(2014)にフォーカス。


 家族を含むリヒター自身の記憶とドイツの歴史、その光と影に向き合い続けたリヒターが、ついにアウシュヴィッツとイメージの問題に真正面から取り組んだ本作。そのタイトルはアウシュビッツのビルケナウ強制収容所から与えられており、同所から秘密裏に撮影されて持ち出された4枚の白黒写真のイメージと、その「真の恐怖」を扱っている。


 PART1ではディティール図版を含む《ビルケナウ》のビジュアルページを掲載。続くドイツ文学研究の西野路代の論考では、制作プロセスとこれまでの画業を手がかりに、またカール・ヤスパースの「四つの罪の概念」とそれを超出する「自然」という契機をキー概念として、同作を読み解いていく。


 PART2では、リヒターにとって思索の重要な道具としての役割を果たしてきた「もうひとつの制作」である「アーティストブック」を取り上げる。《ビルケナウ》発表後に作品集として展開したものを含む14冊の紹介を通して、リヒターという画家の思索をたどる。



 PART3では、2009年の個展以来、4年にわたって「絵を描かなかった」期間に着目。リヒターにとって、描かずに制作を続けた時間は、どのような意味を持っていたのか。抽象絵画を「ふたたび始めること」について考察した、ディーター・シュヴァルツの論考の翻訳掲載に加え、《ビルケナウ》以降に発表された抽象絵画とドローイングがフルカラーで掲載されている。


 第二特集では、1973年のテキスト「フレデリック・ロー・オルムステッドと弁証法的風景」
が翻訳掲載。ニューヨークのセントラルパークなど数々の屋外空間を設計したオルムステッドについて、ランドアートの中心的存在であるスミッソンが1970年代のポストモダンの視点から再検討した本論考は、新しい「エコロジー」や人新世が人口に膾炙する現代の芸術と環境をめぐる議論においても、多くの示唆を与えてくれるだろう。

 ゲルハルト・リヒターの作品と画家本人について、その歴史的文化的背景とともに理解を深めることができる特集となっている。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/216ef77e66f91d6992da79ee3bd1e4781cec7536

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