ジャコメッティ、ダムタイプから諏訪敦、五美大展まで。今週末に見たい展覧会ベスト11
東京・京橋のアーティゾン美術館で、ダムタイプの新作《2022》を再構築し、《2022:
remap》として日本初公開する展覧会「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022:
remap」が開催される。会期は2月25日~5月14日。
アーティゾン美術館は2020年の開館を機に、ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展における日本館展示の成果を国内で紹介するため、帰国展を実施しており、今回は2回目となる。同年にはキュレーターの服部浩之を中心に、下道基行(アーティスト)、安野太郎(作曲家)、石倉敏明(人類学者)、能作文徳(建築家)が協働した第58回ヴェネチア・ビエンナーレの帰国展「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」を開催した。
ダムタイプの《2022》は、第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館展示で発表されたものだが、帰国展では単純な再現展示ではなく、アーティゾン美術館の6階展示室の空間に《2022:
remap》として再配置。各国のナショナル・パヴィリオンが立ち並ぶなかで、今日の地政学的境界、あるいは国境を越えて共通のインフラとなっているインターネット空間を基調としたコミュニケーションのあり方に問いを投げかけた《2022》を、サイト・スペシフィックに再構成し展示するという。
会期: 2023年2月25日~5月14日
会場:アーティゾン美術館
住所: 東京都中央区京橋1-7-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(5月5日をのぞく金は~20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1200円(日時指定予約制、当日チケット[窓口販売]1500円) / 学生 無料(要ウェブ予約)
大規模修繕前の三菱一号館美術館で。「芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル」(三菱一号館美術館)
設備入替および建物メンテナンスのため長期休館する三菱一号館美術館。同館が休館前の最後の展覧会として「芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル」を開催する。会期は2月25日~4月9日。
落合芳幾と月岡芳年は、江戸後期を代表する浮世絵師、歌川国芳の門下でともに腕を磨き、1866~67(慶応2~3)年には、幕末の風潮を反映した残酷絵を共作。良きライバルとして当時の人気を二分していた。芳幾はその後、発起人として関わった「東京日々新聞」(毎日新聞の前身)の新聞錦絵を描くようになる。
いっぽうの芳年は、国芳から継承した武者絵を展開し、歴史的主題の浮世絵を開拓。人生半ばの30歳前後で明治維新を迎えた2人は、最後の浮世絵師と呼ばれる世代として、浮世絵衰退の時代にあらがうべく闘った。本展は、そんな2人の画業を浅井コレクションをはじめとする貴重な個人コレクションを中心に振り返るものだ。
会期:2023年2月25日~ 4月9日(前期 2月25日~3月19日 / 後期
3月21日~4月9日)※会期中、一部の作品に展示替えあり。※展示作品変更の可能性あり。
一部肉筆画を以下日程で展示替え
[1期] 2月25日~3月12日
[2期] 3月14日~26日
[3期] 3月27日~4月9日
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(金、会期最終週平日、第2水~21:00)
休館日:3月6日、3月13日、3月20日
料金:一般 1900円 / 高校・大学生 1000円 / 中学生以下無料
貴重な7つの彫刻が来日。「アルベルト・ジャコメッティ」展(エスパス ルイ・ヴィトン大阪)
彫刻の世界において、比類なき存在であるアルベルト・ジャコメッティ(1901~1966)。その貴重な7つの彫刻が、パリから来日した。レポート記事はこちら。
第二次大戦後、身体を細長く引き伸ばした新たなブロンズ彫刻を手がけ、50年代にはその名声が高まっていったジャコメッティ。
日本では2017年に東京・国立新美術館で回顧展が開催され、約2ヶ月半の開催期間中におよそ14万人を動員したことが記憶に新しい。
今回の展覧会は、パリにあるフォンダシオン
ルイ・ヴィトンの所蔵作品を世界各地のエスパス ルイ・ヴィトンで展示する国際的なプロジェクトの一環として行われるもの。フォンダシオンのコレクションからジャコメッティを象徴する7点の彫刻作品、《棒に支えられた頭部》(1947)、《3人の歩く男たち》(1948)、《ヴェネツィアの女III》(1956)、《大きな女性立像 II》(1960)、《男の頭部》(ロタール
Ⅰ、ロタール II、ロタール III、1964-65)が並ぶ。
会期:2022年2月23日~6月25日
会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪
住所:大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋5F
電話番号:0120-00-1854
開館時間:12:00~20:00
休館日:ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準ずる
料金:無料
ゆらぎの感覚を探求する四人展。「Interference」(銀座メゾンエルメス フォーラム)
光、振動、波動など、身体に介入するゆらぎの感覚を通じて、知覚探究を試みるアーティストによるグループ展「Interference(インターフェアレンス)」が、東京・銀座にある銀座メゾンエルメス
フォーラムで開幕した。レポート記事はこちら。
本展では、フランシス真悟、スザンナ・フリッチャー、ブルーノ・ボテラ、宮永愛子の4アーティストによる作品を展示。それぞれの作品を通して、私たちの身体に日常的に干渉している出来事の微細な尺度や境界を浮かび上がらせ、皮膚や臓器といった身体の感覚や無意識とより深く向かい合う知覚のメディテーションをうながす。
宇宙空間から地球に入ってくる光によって色彩が振れるフランシスの絵画、地面から宇宙へと感覚が広がる宮永のオブジェ。展示空間のなかに潜む振動をとらえたフリッチャーのインスタレーションと、空間の裏側にある意識下の知覚を触発したボテラの立体作品。それぞれの作家の作品はミニマルな美意識を共有しながら、同時に互いに振動して響き合う。
会期:2023年2月23日~6月4日
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階
住所:中央区銀座5-4-1
電話番号:03-3569-3300
開館時間:11:00~19:00 ※入場は18:30まで
休館日:不定休 ※銀座店の営業に準じる
料金:無料
気鋭の作家の表現を展覧。「第26回岡本太郎現代芸術賞(TARO展)」(川崎市岡本太郎美術館)
岡本太郎の精神を継承した岡本敏子によって創設され、毎年、自由な発想で芸術の新しい側面を切り開くアーティストを顕彰してきた「岡本太郎現代芸術賞」(通称「TARO賞」)。
その第26回の受賞者が2月18日に発表された。
今回は昨年を上回る595点の応募があり、そのなかから23名が入選。最終審査を経て大賞となる岡本太郎賞、そして岡本敏子賞は受賞者なしとなった。特別賞は足立篤史、澤井昌平、関本幸治、レモコ-レイコが受賞した。
「第26回岡本太郎現代芸術賞(TARO展)」では本賞の入賞者・入選者の作品を展示。気鋭の作家の表現を見ることができる。会期は4月16日まで、川崎市岡本太郎美術館で開催。
会期:2023年2月18日~4月16日
会場:川崎市岡本太郎美術館
住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5
開館時間:9:30~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月、2月24日、3月22日
料金:一般 700円 / 大学・高校生 500円 / 中学生以下 無料
猫のような現代美術を紹介。「ねこのほそ道」(豊田市美術館)
決して飼いならされることなく、野生を保ったまま人間とともに暮らす猫に着目した展覧会。出展作家は泉太郎、大田黒衣美、落合多武、岸本清子、佐々木健、五月女哲平、中山英之+砂山太一。
猫は長い時間をかけて人間と暮らすようになり、人間が自然を離れて都市を形成し、高層ビルに住むようになると、猫も住処を移した。猫はいつも、人工的な環境のなかでも決して手なづけられることのない、小さな自然と位置づけられる。
本展では、隙間や内と外を自在に行き来する逸脱可能性として、また言葉の秩序から逃れる不可思議な存在として、自由、野生、ユーモア、ナンセンス溢れる、猫のような現代美術を紹介する。
会期:2023年2月25日~3月5日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:03-6812-9921
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分まで
休館日:火
料金:無料
キュレーターが学生とつくりあげる学生選抜展。「DOUBLE ANNUAL 反応微熱―これからを生きるちから―」(国立新美術館)
京都芸術大学と東北芸術工科大学の学生選抜展「DOUBLE ANNUAL 反応微熱―これからを生きるちから―」
が、2023年2月25日~3月5日に国立新美術館で開催される。片岡真実を総合ディレクターに迎え、インディペンデント・キュレーターの金澤韻と服部浩之が共同でキュレーションを行う。
「DOUBLE
ANNUAL」は京都芸術大学が2017年度より挑戦してきた実践的な芸術教育プログラム。全学部生と院生を対象に募集、選抜された学生が、第一線で活躍するキュレーターと対話を重ねて展覧会をつくりあげるものだ。
6年目を迎える今回は、姉妹校である東北芸術工科大学からも学生選抜を行うプロジェクトに発展。京都と山形という異なる地点から芸術教育のあり方を問い直し、「アートになにができるのか」を問いかける。
会期:2023年2月25日~3月5日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:03-6812-9921
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分まで
休館日:火
料金:無料
次世代の才能を探す。「第46回 東京五美術大学 連合卒業・修了制作展」(国立新美術館)
東京五美術大学(女子美術大学・多摩美術大学・東京造形大学・日本大学芸術学部・武蔵野美術大学)の卒業/修了制作を一堂に見られる展覧会。大学で学んだ成果が発表されるとともに、次世代のアーティストを探すことができる場にもなる。
26日の14時からは国立新美術館の講堂にて「制作者による、制作者のためのはなし」と題し、各大学から選出された出品者5名と、ゲスト作家による対談企画も行われる。
会期:2023年2月25日~3月5日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:03-6812-9921
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分まで
休館日:2月28日
料金:無料
「視ること、そして現すこと」を問い続ける。諏訪敦「眼窩裏の火事」(府中市美術館)
写実絵画のトップランナーとして注目を集めながら、写実性からの脱却に意欲的に取り組む画家・諏訪敦。その絵画制作における認識を問い直し、拡張することをテーマとした展覧会
諏訪敦「眼窩裏の火事」が東京の府中市美術館でスタートする。レポート記事はこちら。
本展は、終戦直後の満州で病没した祖母をテーマにしたプロジェクト《棄民》、コロナ禍のなかで取り組んだ静物画の探求、そして絵画制作を通した像主との関係の永続性を示す作品群を紹介するもの。
会場では、諏訪による丹念な取材と重層的な思索から描かれた作品群を「棄民」「静物について」「わたしたちはふたたびであう」の3つの章立てで構成。会場に並ぶ作品群が「視ること、そして現すこと」を問い、絵画制作における認識の意味を拡張しようとする。
会期:2022年12月17日~ 2023年2月26日
会場:府中市美術館
住所:東京都府中市浅間町1-3
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~17:00 ※展示室入場は16:30まで
料金:一般 700円 / 高校・大学生 350円 / 小・中学生150円
世界屈指の中国青銅器コレクション。「不変/普遍の造形―住友コレクション中国青銅器名品選―」(泉屋博古館東京)
昨年3月にリニューアル開館を迎えた東京・六本木の泉屋博古館東京。そのリニューアルオープン記念展シリーズの最後を飾る展覧会「不変/普遍の造形―住友コレクション中国青銅器名品選―」は2月26日まで。レポート記事は
こちら。
本展の主題となるのは、住友コレクションの代名詞であり世界屈指の呼び声高い中国青銅器の数々だ。これらは住友家の第15代当主・住友吉左衞門友純(号・春翠)が煎茶の床飾りのために購入したのが始まりで、そこから体系的なコレクションが築かれていった。
専門家でない限り、難解なイメージを抱きがちな中国青銅器だが、本展では食器、酒器、水器、楽器の数々を通じて、名前の由来や意味を解説。また、当時の社会の価値観や歴史的事件を記す貴重な史料である文様や文字にも光を当てる。
会期:2023年1月14日~2月26日
会場:泉屋博古館東京
住所:東京都港区六本木1-5-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:11:00~18:00(金~19:00) ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1000円 / 高校・大学生 600円 / 中学生以下無料
江戸の洋風画の大家の回顧展。「没後200年 亜欧堂田善 江戸の洋風画家・創造の軌跡」(千葉市美術館)
江戸時代後期に活躍した洋風画家・亜欧堂田善(1748~1822)の、首都圏では17年ぶりの回顧展「没後200年 亜欧堂田善 江戸の洋風画家・創造の軌跡」は、千葉市美術館で2月26日まで。レポート記事は
こちら。
田善は現在の福島県須賀川市生まれ。47歳のときに白河藩主松平定信の命を受けて腐食銅版画技法を習得し、主君の庇護のもと、日本初の銅版画による解剖図『医範提鋼内象銅版図』や、幕府が初めて公刊した世界地図『新訂万国全図』などの腐食銅版画を手がけた。いっぽうで西洋版画の技法を取り入れた江戸名所シリーズや肉筆油彩画も手がけるなど、多くの傑作を残した。
本展は、現在知られる田善の銅版画約140点を網羅的に紹介するとともに、肉筆画や同時代の画家である谷文晁、司馬江漢、鍬形蕙斎らの作品を紹介する展覧会となっている。
会期:2023年1月13日~2月26日
会場:千葉市美術館
住所:千葉県千葉市中央区中央3-10-8
電話番号:043-221-2311
開館時間:10:00~18:00(金、土は~20:00)
休館日:1月30日、2月6日
料金:一般 1200円 / 大学生700円 / 高校生以下無料