上白石萌音「心をいっぱい動かした」教師の父親と一緒に通った思い出の場所
【女子的アートナビ】vol. 301
特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」では、メキシコにある古代都市の遺跡群から、代表的な3つの文明「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」に関する至宝を展示。土偶や土器、石彫、首飾りや壁画など、さまざまな出土品約140件が紹介されています。
メキシコは、16世紀初頭にスペインが侵略するまで、3千年以上も高度な文明が栄えていました。前1500年頃にオルメカ文明が興り、野生の動植物で暮らしを支え、暦を生み出し、さらに神への祈りなど捧げる儀礼の場やピラミッド、居住地などもつくられるようになりました。現在、メキシコの古代遺跡や歴史地区の多くは、世界遺産にも登録されています。
そんなメキシコに3年間暮らしたことのある俳優の上白石萌音さんが、本展のプレス内覧会に登壇。展覧会の感想やメキシコの魅力を語ってくれました。
――展示全体をご覧になって、いかがでしたか?
上白石さん 本当にいろいろな気持ちになりました。ワクワクしたり、おそれの気持ちを抱いたり、ふわっと頬がゆるむ瞬間があったり、精密な技術に驚いたり。すごく充実した楽しい時間でした。大昔の文明の品々なのに、その向こうに暮らしや作った人の存在、現代とのつながりを感じる瞬間もあり、フシギな気持ちになりました。また、私はメキシコで暮らしたこともあるので、すごく懐かしさも感じながら堪能させていただきました。
――頬がゆるんだ作品とは、どのようなものですか?
上白石さん ふわっとした気持ちになる作品は、たくさんありました。出土品に描かれている生き物や人などの表情が、とても愛らしいのです。また、造形が絶妙でシュールなものもあり、そんなところにもメキシコの愛嬌を感じる瞬間がありました。小さい装飾品から大きい像まで、とても丁寧に装飾が施されていて、神や自然へのおそれ、祈りの切実さがにじみ出ているような気がしました。
一番圧倒されたのは、「赤の女王」のマスクです。その展示室に差し掛かったときは、なんともいえない気持ちになりました。学芸員さんのお話によると、これを逃したら今後見ることができないかもしれないくらい貴重なモノということでしたので、ぜひこの機会を逃さずに見て、感じていただきたいと思います。