川内倫子の日々 vol.26「彼女」
振り返るとちょうど一年くらいまえから本格的にオペラシティの展示の準備が始まり、日に日にその作業量が増えていき、忙しさは加速していった。展示初日にそのピークを迎えたものの、その後は取材や滋賀美の準備などに追われ、常になにかを抱えているような状態が続いていた。
2月に入ってからは張り詰めていたものが和らぎ、自分の日常に帰ってきた気持ちになる。
夕飯になにか旬のもので作ったことのない料理をつくってみよう、ヨガのあとに足を延ばしていつもは行かないパン屋さんに寄り道しようか、など、気持ち的に余裕がないとできないことをしてみようと行動するとき、日常に戻ってきた感じがするのだ。
ずっと行けなかった健康診断も済ませ、映画館にも久しぶりに行くことができた。
ただ、くたびれているのか、スナップ写真を撮ることが少なくなった。少し休むことができたら、それもまた自分の日々の一部として戻ってくるだろう。