「あの日の記憶に触れる」 発達障害の29歳、描く緻密な水彩画
川島さんは同市の印刷会社で働きながら創作を続ける。コロナ禍の影響で、勤務日や勤務時間が不規則になり、楽しみだった電車を使った取材旅行も控えている。母知子さん(63)は「相当なストレスを感じているようです」と気遣うが、普段は夕食前の1時間程度、休日はほぼ一日中絵筆を握るという。
今年描いた新作は、ギター工房の写真を元に再現した「6年前のメロディー」、あしかがフラワーパークの売店を描いた「楽しい時間」、樺崎八幡宮の落ち葉と小さな埴輪(はにわ)をコラージュした「冬のかくれんぼ」――の3点。人物画は苦手だが、昨年は歩き始めたばかりの姪の愛らしい後ろ姿も描いた。
10月から取り組んでいるのは、3連アーチが印象的な渡良瀬川の「中橋」周辺を織姫山から見渡した風景画。0・05ミリの極細サインペンでビルの窓ひとつひとつまで描きこんだ、これまで以上に緻密な作品で、個展初日の7日、会場で公開制作した。中橋は架け替えが決まっており、川島さんは「なくなるかもしれない風景を残したい」と話し、細かな輪郭内に極細の丸筆で着色する様子を披露した。
17日まで。最終日にも公開制作する。入場無料。土日休館。問い合わせは同センター(0284・44・7311)。