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【書評】『ギターから見た近代日本の西洋音楽受容史 』(竹内貴久雄 著・ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス)
2022-11-26
【書評】『ギターから見た近代日本の西洋音楽受容史 』(竹内貴久雄 著・ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス)

幕末の嘉永7年(1854年)3月27日。横浜村の沖合に停泊していた黒船では、日米和親のの盛大なパーティーが行われていた。


初めてギターを見た絵師があえて結び付けた三味線は、ギターと同じ撥弦(はつげん)楽器に分類される。撥弦とは弦を弾くことで、三味線のバチは漢字で書けば「撥」である。

ギターと三味線は撥弦楽器に分類されること以外に、ともに「庶民の楽器」の側面を持っている。時代劇で、武家や公家の娘が三味線をつま弾くのを見た人はいないと思う。琴なら自然だが、三味線では何となくイメージがわかない。つまり三味線は町人の楽器ということが無意識に了解されているのである。

一方のギターも庶民的な楽器である。バイオリンやピアノはハイソサエティーなイメージがあるが、ギターにはほとんどない。

これはギターが他の楽器に比較して音量が小さく、大音響のオーケストラとの組み合わせがよくないため、伝統的なクラシック音楽の主流から少しはずれた存在となったのが一つの理由になっている。

もちろん「アランフェス協奏曲」に代表されるような、ギターを主役とした名曲もある。この協奏曲はオーケストラの間にギターソロを挟み込むことによって、ギターの音が大音響に埋もれてしまうことを巧みに避けている。またギターだけにマイクを使うこともあるようだ。

残念なことに20世紀のクラシックギターの巨匠、アンドレス・セゴビアは「アランフェス」のこの「掛け合い」を嫌い、一度も演奏することはなかった。

セゴビアは「ギターはオペラグラスを逆さに覗いたオーケストラ」という言葉を残しているが、これはギターの音量の小ささを表現すると同時に、さまざまな技法によって多彩な音色を奏で、また豊かな和音をも響かせる楽器であることを誇ったものだ。

そういったギターの立ち位置は、アカデミックの世界でも顕著に表れていて、東京藝術大学をはじめとする多くの音楽大学では、ギターを専攻するコースは設けられていない。(※注2)

一方で、慶応、同志社、明治といった大学のマンドリンクラブはギターの普及に大いに貢献した。ちなみに昭和歌謡界の大作曲家・古賀政男は明治大学マンドリンクラブの創設者の一人である。古賀もそうだが、当時、マンドリンからギターに転向する人が多かった。そのためか古賀の作曲によるヒット作の数々は、たとえば「影を慕いて」のようにクラシックギターの伴奏が非常に効果的に取り込まれており、人々のギターに対する関心をかきたて、やがて街中の小さなギター教室を中心に、ギターは庶民の楽器としてポピュラーは存在に育っていく。これもまた、三味線が横町のお師匠さんによって庶民の芸事として伝えられてきたのに似ている。また三味線が歌舞伎や長唄の伴奏楽器として用いられたのもギターと同じである。

ソース元URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/2d21d5d184ec3815e3a7bc3ec8c6c9d9c2b39cda

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