Googleから待望のスマートウォッチが誕生。アイビー・ロスが語る、感性と呼応するデザインとは。
Pixelファンにとっては、待ちに待ったGoogleのスマートウォッチ《Google Pixel Watch》が、ついに発売された。既成のスマートウォッチは角型が一般的であるのに対し、Googleが提案したのは、ぷっくりとした膨らみのあるラウンドボディだ。
「スマートウォッチの登場以前から、私たちが慣れ親しんでいる腕時計のかたちは、まさにこれ。腕に自然に馴染むフォルムを大切に守りながら、現代的でスマートな存在になることを第一に考えました」
Googleが手がける一連のデジタルデバイスの、ハードウェアデザインを統括するデザイナーのアイビー・ロスは、新製品のデザインの出発点をこのように語る。
「身体にフィットする本質的なかたちとはなにか。デザインチームでディスカッションを重ねながら、インスピレーションの源になったのが『水のしずく』でした。デザインの系譜には、水の動きを意識した流線型は過去にもたくさんあります。しかし、私たちは単なる形状だけでなく、水滴がもつ柔らかさや滑らかさといった感覚的な側面をいかにデザインに取り入れられるか、検討を重ねていきました」
「スマートウォッチは日常的に身に着けるものですから、装着感が良いとともに、どのようなファッションにも対応するものでなければなりません。素朴でシンプルなデザインを目指しながらも、地味になりすぎないように肌触りや金属の艶感などのディテールにはとことんこだわりました」
充電時など、外した時には裏側も見えることから、装着しているときは目に触れない部分の仕上げにも手を抜かなかったという。彼女が統括するデザインチームには、インダストリアルデザイナーのほかに、機構設計、色研究、素材開発、化学者、パッケージエンジニアなど、数多くの異なる分野のメンバーから構成される。各分野の専門知識をクロスオーバーさせながら、約2年の年月をかけて完成に導いたという。