薩摩藩の賄賂を巡る新史料発見 桜田門外の変後の交渉伝える
史料は「佐敷表早書」と題した覚書で、当時薩摩藩が参勤交代で利用した本陣があった佐敷宿(熊本県芦北町)でのやりとりを記したもの。事件は安政7(1860)年3月3日に発生。覚書は改元で万延元年となった同月28、29日の日付があり、字数は900字ほど。筆者は不詳だが、佐敷を治めていた熊本藩の藩士が書いた可能性があるという。
幕末維新史を専門とする東洋大の岩下哲典教授が昨年、京都の古書店を通じて入手。大学院生の小林哲也さんと共に内容の分析を進めていた。
史料には、直弼の首を取った薩摩藩浪士の兄弟の急進的な行動に頭を悩ませる薩摩藩が幕府の追及を和らげようと「鯛」や「鯨」など賄賂の目録を差し出したと記されている。