春日大社の神宝「金鶴洲浜台」 平安のきらめき再現
新調品の元になったのは、1955年に国宝に指定された「若宮御料古神宝類(こしんぽうるい)」。奈良国立博物館の調査で2021年2月、この中の金鶴と銀製の樹枝、台に当たる木製の磯形は元々、組み合わさったものだと判明した。平安時代に藤原摂関家などの貴族から奉納された可能性が高く、唯一現存する貴重なものといい、式年造替を機に元の姿で新調することにした。
内藤栄・大阪市立美術館長が監修し、彫金の人間国宝に認定された桂盛仁さんと、春日有職(ゆうそく)奈良人形師の太田佳男さんが制作。桂さんは、国宝の金鶴の羽の線に勢いがあると感じ、当時の職人の腕の素晴らしさを感じたと振り返った。
完成した金鶴洲浜台は春日大社の国宝殿に納め、12月10日~2023年1月22日に奈良国立博物館で一般に初公開する。
同様の別の1対も制作しており、完成後は式年造替でご神体を本殿に戻す本殿遷座祭(10月28日)の際に「令和の御神宝」として奉納する。【上野宏人】