古今東西 かしゆか商店【日光下駄】
その台木に使われるのは、軽くて固い日本の桐。今の人が履いても歩きやすく丈夫な素材です。
「草履表の材料には吸湿性の高い真竹の表皮を使い、鼻緒の中に詰めるのは無農薬のもち米の藁。素足で履くことも多いので、安全なものを使いたいんです」
そんな山本さんが見せてくださったのは、草履表を編む工程。まずは太い麻紐を道具にセットして、ベースになる経糸にします。一方の緯糸は、真竹の皮をいぶして細く割いたもの。右手の指先で竹皮の両端を丸めながら編み進めつつ、左手の指先を複雑に上げ下げして、編んだ部分をしっかり押さえます。時折、草履表を台木にあてているのは、シルエットが揃っているかどうかを確認するためです。
「草履のカーブが歪んでいたり小さかったりすると、下の台木が見えてしまう。その場合は、最終段階まで編んでいたとしても、ほどいて編み直します。これをするかどうかが技量というもの。ちゃんとやれば良い下駄になる。いい加減に作ればそれなりのものになる。作り手の心もちが反映されるのが、手仕事の面白いところです」