奈良で体験する、自然とアートの共鳴。今秋も芸術祭「MIND TRAIL」が開催!
2020年、世界中がパンデミックに翻弄される中で誕生した芸術祭「MIND TRAIL」。“歩く”そして“心の中に美術館をつくる”というコンセプトのもと企画され、第1回、第2回ともに大成功のうちに終了。未曾有な状況においてなお、アートにできることはある、と静かに提示した。
今年は第3回となる開催。舞台は前回に引き続き、奈良県の吉野町、天川村、曽爾村の3箇所だ。世界遺産をはじめ、日本の原風景が残る自然豊かなエリアで、地元との連携も回を重ねるごとに強まっている。
第1回からプロデューサーを務めるパノラマティクス主宰の齋藤精一のほかに、吉野エリアのキュレーターとして、東京五輪の「動くピクトグラム」を手がけた映像デザイナーの井口皓太が参加。天川エリアのキュレーターはアートの造詣も深いモデルのKIKI、曽爾エリアのキュレーターは奈良に移住し、この土地の魅力を熟知する写真家の西岡潔が務める。
芸術祭『MIND TRAIL』の最大の特徴は“歩いて巡る”こと。最長5時間かかるルートを自分のペースで進みながら、場所場所でアートと遭遇する。すると、それらの作品がレンズのような役割を果たし、土地の魅力を日常とは違う角度から感じられる仕掛けになっている。
さらに、今年は「対話」というテーマが掲げられている。
プロデューサーの齋藤はこう話す。「過去2年間に参加したアーティストたちは会期終了後も地域の人々と交流を深めてきました。これは、人との会話、自分との会話、環境との会話、地域との会話など、さまざまな対話することから派生している現象です。2022年のMIND TRAILは、この2年間で多くの方との対話から生まれた繋がりを改めて考えるために、テーマを ”Conversation(対話)” として開催します。 奥大和で様々な連携が起こり、 言葉・声・心の声など多くの対話が生まれるような新しい試みを行っていきたいと考えています」
歩くという行為は、瞑想にも似た効果をもたらす。知らない土地をただひたすらに進みながら、頭を空にし、心をひらく。そうした状態の自分が、アートや自然にどう反応するのか? あらゆるものとの“対話”を味わいに、秋の奥大和を訪ねてみたい。