大河「どうする家康」で時代考証 歴史学者の平山優さん(58)
ドラマ前半では主人公の徳川家康の最大のライバルは信玄・勝頼親子の武田家。そこで武田氏研究の第一人者でもある平山さんが大河ドラマでは「真田丸」に続いての起用となった。
「10月まではこのドラマにかかりっきり」と話す。一昨年、ドラマの制作発表直後に、脚本の枠組み作りのため、NHKの担当者から信玄・勝頼親子について取材を受けた。今後は仕上がった脚本を考証し、修正する作業が続く。
生まれは東京都だが、両親が武田家滅亡の地である山梨県甲州市大和町出身。実家の墓は勝頼の墓もある景徳院だ。「勝頼を身近に感じ、なぜ武田家が滅んだのか気にかけていた」という。小学校の自由研究で「武田家滅亡」をテーマにしたほどだ。
「勝頼は無能扱いされていたが、違う。実際には武田領を最大に広げたのは勝頼の時代。不運が重なり、武田家滅亡につながった」。こうした考えはドラマにも反映される方向だ。
「凝り性」を自認し、合戦の進軍経路やそれを支える古道、城、とりでの存在意義などを中心に、当時の状況を復元していく手法は、他の歴史研究家からも一目置かれる。当時の物価や税制、中小領主の研究でも知られ、「歴史は教科書の太文字(の出来事)だけで動くわけではない」。歴史上の出来事の背景を緻密に探る活動が今後も注目されそうだ。(平尾孝、写真も)
■ひらやま・ゆう 昭和39年、東京都新宿区出身。立教大大学院修了。専攻は日本中世史。山梨県埋蔵文化財センター文化財主事、同県立博物館副主幹などを経て、同県立中央高教諭。武田氏研究会副会長を務め、歴史を扱うテレビ番組にも数多く出演。