アーティゾン美術館でダムタイプの新作《2022》を再構築。ヴェネチア・ビエンナーレ帰国展が開催
remap》として日本初公開する展覧会「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022:
remap」が開催される。会期は2023年2月25日~5月14日。
アーティゾン美術館は2020年の開館を機に、ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展における日本館展示の成果を国内で紹介するため、帰国展を実施しており、今回は2回目となる。同年にはキュレーターの服部浩之を中心に、下道基行(アーティスト)、安野太郎(作曲家)、石倉敏明(人類学者)、能作文徳(建築家)が協働した第58回ヴェネチア・ビエンナーレの帰国展「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」を開催した。
ダムタイプの《2022》は、第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館展示で発表されたものだが、帰国展では単純な再現展示ではなく、アーティゾン美術館の6階展示室の空間に《2022:
remap》として再配置。各国のナショナル・パヴィリオンが立ち並ぶなかで、今日の地政学的境界、あるいは国境を越えて共通のインフラとなっているインターネット空間を基調としたコミュニケーションのあり方に問いを投げかけた《2022》を、サイト・スペシフィックに再構成し展示するという。
《2022》は00年代後半より高谷史郎と作品をつくり続けてきた坂本龍一が、初めてダムタイプメンバーとして作品の制作に関わった作品でもある。坂本が本作のために新たに制作したサウンドトラックに加え、坂本の呼びかけにより世界各地でフィールドレコーディングされた音が、ダムタイプの視覚言語を通じて、その場に立って各人が耳を澄ませることの意味、機械を通じた知覚のあり方を浮き上がらせることを試みる。
また、1850年代の地理の教科書から引用された普遍的な質問のテキストが、独自のレーザー装置で壁に投影。デヴィッド・シルヴィアンやカヒミ・カリィといった坂本の友人たちによる朗読の音声が周囲を取り囲み、見えるか見えないか聴こえるか聴こえないかの境界線上で表現されるという。
さらに《2022》は、18年ぶりの新作パフォーマンス《2020》とも関係している作品であり、過去作《Playback》で使用したターンテーブルや、《TRACE/REACT
II》での表現も加わり、これまでのダムタイプの作品を凝縮したものともなる予定だ。