奏者独自の表現も忠実に再現!臨場感たっぷりに楽器を奏でる装置がすごい…仕組みを開発元のヤマハに聞いた
魅力的なシステムだが、気になるのはその仕組み。振動させることでなぜ音が出るのだろう。楽器の音色は奏者の“クセ”が出たりもするが、これも再現できるのだろうか。リアルサウンドビューイングの開発者・柘植秀幸さんに聞いた。
――リアルサウンドビューイングの特徴を教えて。
2017年から開発しているライブ再現システムの技術で、振動を発生させる「加振機」という装置を楽器に取り付け、振動を再現することで生演奏の音を再現しようというものです。
ドラムを想像してもらうと分かりやすいですが、私たちに聞こえる楽器の音は、実は振動で発せられたものになります。ドラムならスティックで叩く、ギターなら弦を弾きますが、音として聞こえるのはその振動です。この揺れを再現しようというものになります。
――実際には生演奏の振動をどう再現するの?
ヤマハが持つ「トランスアコースティック」(電気信号を振動に変換して響板などに伝えて音を響かせる技術)を応用しています。生演奏を複数のマイクで録音し、そこから楽器の振動データを生成します。このデータを基に加振機で楽器に振動を伝えることで、生演奏の音を再現しています。
――適用できる楽器は?歌声の再現はできるの?
現時点では、打楽器、弦楽器、鍵盤楽器は再現できますが、管楽器が再現できていません。息を吹き込んで振動を発生させるなど、他と仕組みが少し異なるためです。歌声については、生の声そのままではなくマイクとスピーカーを通して届けるという形で技術が進化してきているので、当面はその仕組みを活用していければ良いのではないかと考えています。