京都祇園祭は、196年ぶりに登場する「鷹山」に注目!その歴史と見どころを解説
コロナ禍で中止となっていた祇園祭の山鉾(やまぼこ)巡行が3年ぶりに再開しました(前祭の巡行は7月17日に実施)。今年の最大の話題は、由緒ある曳山(ひきやま)のひとつ、「鷹山」の後祭での巡行参加です。それもなんと196年ぶり!10年ほど前から着々と進められてきた復活への準備。積み重ねられた人々の努力と団結が遂に実現しました。7月24日、御池通りに「鷹山」は艶やかな姿を現します。その瞬間が、いまから待ち遠しくてたまりません。
写真は、2019年に行われた後祭巡行で御池通りを東へ進む「大船鉾」。山鉾を曳くには、これだけの人数の「曳き手」が必要なのです。
伊勢物語で知られる在原業平(ありわらのなりひら)の兄、在原行平(ゆきひら)が、光孝天皇の御幸(みゆき)で鷹狩をする場面を題材とした「鷹山」は、応仁の乱以前から巡行に参加していた由緒ある曳山でした。大風雨の被害を受け、大部分の装飾品などが破損してしまったために、長らく「休み山」として巡行不参加となっていたこの「鷹山」が、196年ぶりに復活を果たします。復活の夢物語りが産声をあげたのは、30年ほど前のこと。その原動力となったのは、町内の人々の夢と希望、団結と助け合いでした。
写真は、今年の5月に行われた「鷹山」の試し曳きの様子。本番に近い状態での、いわば巡行前のゲネプロです。
祇園祭の巡行に向けて、中京区の四条通りと新町通り、室町通り界隈を中心として、数多くの「山」と「鉾(ほこ)」が立ち並びます。どの山鉾も、その発祥には言われがあり、それぞれが故事来歴に因んだ独自の物語を持っています。「鷹山」のシンボルは、鷹狩が題材だけに、鷹を手に乗せた「鷹匠(たかじょう)」、犬を引く「犬飼(いぬかい)」、背中に樽を背負った従者の「樽負(たるおい)」の3体のご神体です。そして屋根から突き出た、「真松(しんまつ)」と呼ばれる松の枝には、羽根を休める「雉」も。こうしたご神体を乗せて進む「鷹山」。「鷹山」が現れたら、まずこのご神体をチェック。写真は、巡行に参加するまでは、宵山(巡行の前夜祭)でお披露目されていたご神体。左から「鷹匠」、「樽負」、「犬飼」。「犬飼」は可愛い猟犬を従えています。