SOLSOとSUEP.がタッグ! 環境配慮型の建築プロジェクト。
植物の生産、買い付けから、設計&施工、メンテナンスに至るまで、グリーンにまつわるあらゆる事業を手がける〈SOLSO〉。彼らの拠点の一つである川崎のSOLSO FARMの敷地内に、新たなオフィス棟〈KEEP GREEN HOUSE〉が完成した。
「僕たちは植物とともに時間を過ごしながら、常に自然のことを考えています。だからこそ、オフィスも環境にあらがわず、大地の上にポンと置いただけのような場所にできないかなと考えました」
と語るのは〈SOLSO〉代表の齊藤太一。「できる限り自然に素直に従う建物にしたい」、そんな相談を受けた〈SUEP.〉の末光弘和+陽子がまず考えたのは、いかに土地に負担をかけずに構造を維持させるかということだった。
「平らに整地した土地にコンクリートで基礎を作るのが一般的ですが、コストもエネルギーもかかり、土地もいじめることになる。ここでは基礎を建物長辺の両端だけに限定し、その他は元の大地を生かすことにしました」(弘和)
建屋は幅1間のモジュールを地形に沿う形で横方向に連続。内部は既存の土地の傾斜を生かしつつ、リズム感のある自由度の高い空間を作っていった。
必要なエネルギーも自然の力を生かすべく、植栽とルーバー、自然通風で空調負荷を低減。南側の壁に設置したソーラーパネルと蓄電システムで給湯、空調など電力のほとんどをまかなうゼロエネルギー建築が実現した。
環境に配慮した建築の多くはハイスペックなものが多いが、この建築では、構造をシンプルに考えることで、建設費、工期ともにかなり軽減できたという。
「このプランは、土地の形状に合わせたフレキシブルな展開が可能。ですから、インフラが十分ではない場所でも、オフグリッドを実現できます。いかに無駄なく、大地とともに快適に暮らすことができるか。こうした概念を多くの人と共有していきたいです」(齊藤)
この建物は、緑とともに生きる社会を考える〈SOLSO〉の意識の表れだとも言えるだろう。
模型で見ると建物の構造がよくわかる。赤い点線で囲った部分だけに基礎を作り、そこから木造の構造体を立ち上げている。干し大根を作るときに使う「大根やぐら」や、刈った稲をかけておく「稲架(はさ)」をヒントにしたというストーリーも面白い。