約20年ぶりの「マティス展」 待望の開催 @東京都美術館
色彩が持つ表現力を重視した絵画様式「フォービスム(野獣派)」を生み出し、モダンアートの誕生に決定的な役割を果たしたフランスの巨匠アンリ・マティス。84歳で亡くなるまでのその生涯は、観る者の感覚に直接訴えかけるような鮮やかな色彩と光の探求に捧げられ、今もなお世界中のアーティストに多大な影響を与え続けている。
日本では約20年ぶりの大規模開催となる「マティス展」は、世界最大規模のマティスコレクションを所蔵するパリのポンピドゥー・センターの全面的な協力を得て実現した。見どころの一つは、日本では初公開となる活動初期の傑作『豪奢、静寂、逸楽』(1904年)。本作は、ポール・シニャックの影響下で新印象主義の原理を引用して描かれたもので、マティスがフォービスムに進むきっかけとなった重要な作品として知られている。
本展では絵画はもちろんのこと、彫刻やドローイング、版画、切り紙絵など、約150点の名作が集結。また、晩年の最大の傑作であり、マティス自身がその生涯の創作の集大成とみなした、南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂に関する貴重な資料にも大きな注目が集まる。
“色彩の魔術師”巨匠アンリ・マティスによる、豊かな色彩と生命感あふれる筆致を、その目でとくとご堪能あれ。
Text : Manami Abe