人気作品の原画、「越前和紙」に描いて千年残す「漫画正倉院」展…矢吹丈・ガンダムなど14点
越前市で木材会社を経営する田中保さん(69)が昨年、親交のあったちばさんから「漫画の原画がぼろぼろになっている。いい紙はないか」と相談を受け、文化財の修復にも使われる越前和紙を紹介。他の漫画家にも呼びかけて和紙に原画を描いてもらい、千年先にも残すことを目指して展示や保存活動に取り組むことになった。
和紙の需要が減っていることに危機感を抱いた地元の和紙職人らも加わり、今年1月に「『和紙と漫画』の文化と保存を考える会」を設立した。
企画展は、約1300年前の和紙の古文書を所蔵する奈良市の正倉院にちなみ、「漫画正倉院」展と名付けた。会場には、ちばさんが描き下ろしたあしたのジョーの主人公・矢吹丈のほか、「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインを手がけた安彦良和さん、「JIN―仁―」で知られる村上もとかさん、「テルマエ・ロマエ」のヤマザキマリさんらの作品計14点が並ぶ。
「和紙の価値を多くの人に知ってもらうきっかけにもなれば」と田中さん。寄せられた原画は同会が保管するという。
ちばさんは「原画には、消しては描くという試行錯誤の跡が残る。和紙の伝統文化とともに後世に伝わるならうれしい」と話した。
企画展は6月26日まで。入場料は300円(高校生以下無料)。問い合わせは、同館(0778・42・0016)。