受験リポート 学生の2人に1人が奨学金受給 返さなくてよい給付型も
大学入学初年度に納めるお金は、国立大で授業料と入学金合わせて約82万円。私立文系の場合、入学金と授業料、施設設備費を含め平均で約119万円、私立理系では約157万円かかる(令和3年度、文部科学省調査)。自宅通学か、寮やアパートを借りるかなど、生活費も考慮する必要がある。
日本学生支援機構の2年度調査によると、何らかの奨学金を受給している学生は大学生(昼間部)の49・6%に上る。
「国立大に行けって言われてるけど、奨学金があったら私立にも行けるのかな」
母子家庭で家計を気にして悩む高校生。すると突然、奨学金制度の案内人を名乗る男性が現れ、高校生と対話しながら説明を始める-。
ユーチューブ動画「進学応援委員会ゴリエダさんの奨学金のススメ」は、日本学生支援機構が4年に公開。実際に奨学金で大学進学した芸人たちが、自身の体験を基に高校生役を演じている。奨学金には返さなくてよい「給付型」と、返す必要がある「貸与型」があることや、申し込み方法、返還までを解説している。
2年4月に始まった国の高等教育の修学支援新制度では、住民税非課税世帯など低所得家庭で成績や学ぶ意欲などの要件を満たす学生は、給付型奨学金の支給(上限約91万円)と授業料・入学金の減免を受けられる。対象になるかどうかは、同機構のホームページ(HP)の「進学資金シミュレーター」で調べられる。
奨学金受給者の約9割は同機構を利用しているとされるが、ほかにも大学の特待生制度や自治体、民間企業・団体が募集する奨学金制度もある。
情報収集は、同機構のHPから、大学や民間の制度も検索できる。高校での説明会や民間の奨学金サイトも参考になる。
金融機関の教育ローンに比べ、学生が契約する貸与型奨学金は、無利息や低金利で借りられるメリットがある。ただ、卒業後の返還を考慮し、必要額だけ借りることが重要だ。
金融経済教育の普及に取り組む日本ファイナンシャル・プランナーズ協会は、学生と保護者向けに小冊子「進学にかかるお金と奨学金の話」をHPで公開している。CFP(ファイナンシャル・プランナーの上級資格)の山田圭子さんは、「大学は将来のキャリアへの第一歩を選択できる場所」と話し、まずは将来の目標やそのためにかかる学費、家計から出せるお金について家族で話し合うことを勧める。その上で、貸与型の奨学金を借りる場合は、「無利子や低利率でも、学生自身の借金になる。必要額を毎年見直し、返還に困ったときは減額や猶予制度もあるので、すぐ相談を」と呼びかけている。